阪大ら,レーザーで宇宙の電子加速の理論を検証

大阪大学と米,ルーマニア,仏の研究グループは,米ロチェスター大学のOMEGAレーザー及び米ローレンスリバモア国立研究所のTITANレーザーを用いて地上に強磁場を生成し,この磁場が変形するリコネクションという現象を起こし,その結果として電子が高速に加速されることを発見した(ニュースリリース)。

宇宙では地上で人類が加速することができないほど超高速の電子が多数見つかっており,その原因をまだ説明できていない観測結果も複数ある。一例として,かに星雲で観測されている超高速の電子の加速の原因は特定されていない。

そこで研究グループは,磁気リコネクションと呼ばれる現象に着目した。磁気リコネクションとは,磁力線が繋ぎ変わる(リコネクションする)現象で,磁気リコネクションによって磁場のエネルギーの一部が電子のエネルギーに移ることが知られているが,磁気リコネクションによってどれほど高速まで電子を加速できるかは未解明だった。

大阪大学の研究グループは,国内最大のレーザー装置である激光XII号レーザーを,キャパシター・コイル・ターゲットと呼ばれる磁場発生装置に当てることで,微小な空間と短い時間内に,キロ・テスラ級の磁場を発生できることを発表している。この方法で発生した磁場の持続時間は極めて短時間だが,非常に強い磁場を瞬間的に生成できる。

今回は,この強磁場発生法を磁気リコネクション用に改良し,プラズマの圧力よりも磁場の圧力が大きい,磁場駆動型リコネクションを実験室で起こすことに成功。その結果として,電子が高エネルギーにまで加速されることを発見した。

磁気リコネクション中のプラズマの温度と密度の同時計測を行ない,それらをコンピューターシミュレーションと比較することで,磁気リコネクションによる加速機構の中でも,直接電場加速が最も有力な加速機構であることを示した。

6400光年も離れた,かに星雲での電子の加速機構をパワーレーザーで再現し,地上で詳細に調べるというレーザー宇宙物理は,超高速の電子の加速の原因を特定する上で強力な武器となる。研究グループは,宇宙における加速機構を理解することは,宇宙の加速機構を用いた革新的な粒子加速器の発明に繋がる可能性があるとしている。

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