京大ら,結合様式の制御により光触媒を高効率化

京都大学,独ベルリン工科大学,独ポツダム大学,独ヘルムホルツ協会は,Covalent Organic Framework(COF)とよばれる材料の設計に対して結合様式を制御することで,その電荷輸送特性および水素発生の効率が大きく向上することを見出した(ニュースリリース)。

数種類の小さな有機分子を「部品」として組み合わせることで巨大な分子を構築するCOFは,電荷を輸送するのに必要なパイ共役電子系を有している。さらに,材料中に作り込める規則的な空孔を利用した物質輸送の効率化や電荷の生成効率の向上が期待されている。

今回研究グループは,COF材料で組み合わせる有機分子の「部品」同士の繋ぎ合わせ方に着目して材料設計を行なった。「部品」となるモノマーとして,ドナー性を有するトリフェニルアミン骨格とアクセプター性を有するトリフェニルトリアジン骨格を用いて,脱水縮合を行なうことでイミン結合を形成できる。

これらの骨格はアルデヒド基もしくはアミノ基で化学修飾されているが,繋ぎ合わせの手法としてこのイミン結合の方向性に着目して,アルデヒド基とアミノ基を交換したモノマーからCOFを合成し,それぞれ結合の順序に応じてDCNA,DNCAと名付けた。

DCNAとDNCAは結合様式を除いて同じ構造を取るが,比表面積測定を行なったところ,DNCAはに対してDCNAは2倍以上高い比表面積値を示した。さらに研究グループはアミノ基の非共有電子対に注目し,アスコルビン酸を用いた酸処理を行なった。COF材料の多孔性によってアスコルビン酸は容易に物質内部まで到達し,効率的かつ可逆的にアミノ基をプロトン化できる。

水素発生の効率化のためには①光吸収と励起子の形成,②電荷分離と電荷輸送,③表面反応が鍵となるが,①と②の過程を評価するため,光励起時間分解マイクロ波電気伝導度測定法によって,これらの材料の光電気伝導度を評価したところ,酸処理を行なった後は,DCNAの方が光電気伝導度が優れており,結合様式も考慮に入れた材料設計が必要と分かった。

電子状態の変化が光触媒効果に与える影響を調べるため,水を用いた水素発生反応を行なったところ,DNCAに対し,DCNAでは8倍以上もの高効率で水素発生が進行した。DCNAにおいて,水素反応を引き起こすのに十分な伝導帯のエネルギー準位と,高い電荷輸送特性が兼ね備えわっていることがこの要因だと考えられるという。

今回の結合の方向性の重要性は多種多様な結合に関して成り立つ。研究グループは,今後の探索でより優れた新規COF材料の展開が期待されるとしている。

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