岡山大,青色LEDを光源とした有機光触媒を開発

著者: 梅村 舞香

岡山大学の研究グループは,強い還元力を持つ安定なフェノチアジン有機フォトレドックス触媒の開発に成功した(ニュースリリース)。

光照射によって励起された触媒が,他の分子との間で電子の授受を行なうことによって進行する触媒反応をフォトレドックス触媒反応と言う。この光を吸収して電子の授受を触媒的に行なう分子をフォトレドックス触媒と言う。

近年の地球環境問題への関心の高まりから,有機合成化学分野では環境に配慮したものづくりが注目されている。特に最近ではクリーンなエネルギー源である可視光を活用したフォトレドックス触媒反応が精力的に研究されている。

フェノチアジンはさまざまなフォトレドックス触媒反応に利用されている有機光触媒であり,これまで多くの可視光を光源とする光触媒反応に用いられてきた。その一方で,フェノチアジン分子の窒素原子のパラ位は高い反応性を有しており,しばしば官能基化されてしまうことから,より安定性の高い新たなフェノチアジン触媒の開発が求められていた。

研究グループは,これまで有機フォトレドックス触媒を独自に設計・開発する研究に取り組んできた。今回新たに開発したフェノチアジン触媒は,窒素原子のパラ位にtBu基などの置換基を導入した螺旋型の構造を特徴とする有機フォトレドックス触媒。

電気化学測定および分光測定を用いてPTHS-1触媒の光触媒機能を評価したところ,これは強い還元力(E1/2ox*=−2.34vs. SCE)を有しており,青色光を光源として利用できる触媒であるということが分かった。

次に既存のフェノチアジン触媒との安定性の比較を検討するべく,光スルホニル化反応に適応した。その結果,PTH触媒では窒素原子のパラ位がトシル(Ts)化された生成物が高収率で得られたが,新たに開発したPTHS-1触媒は95%で触媒が回収できたことから,従来のフェノチアジン触媒よりも安定性の高い触媒であることが確認された。

また,可視光照射下リン酸エステル化反応における触媒のリサイクル化を検討したところ,PTH触媒では検討回数を重ねるごとに収率の低下が見られたが,PTHS-1触媒では検討回数を重ねても収率が低下することなく目的とするリン酸エステルが良い収率で得られることが分かった。

この触媒はグラムスケールの大量合成の条件にも適応可能であり,その場合においても96%という高い収率でPTHS-1触媒が回収できることが分かった。

研究グループは,今後はこの触媒を利用することにより,従来のフェノチアジン触媒では適応が難しかった多様なフォトレドックス触媒反応の開発に期待されるとしている。

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