理科大ら,カメラと1~2個の計測ユニットで歩行分析

東京理科大学と県立広島大学は,1台のRGBカメラの映像から人体の関節を推定することができる姿勢推定アルゴリズムによる姿勢推定と,足に装着した慣性計測ユニットから取得した情報を融合した新たな歩行分析法の開発に成功した(ニュースリリース)。

現在,臨床歩行解析の代表的な測定ツールとして,反射マーカーを用いた3次元モーションキャプチャ(3DMC)が使用されているが,多数のマーカーが必要となるなど手間がかかるほか,経済的コストが高い,測定には広いスペースと技術的なスキルも必要になるなどの問題がある。

慣性計測装置(IMU)を用いたモーションキャプチャシステムも利用されているが,このシステムでも,多くのIMUセンサーを人体の各関節に取り付ける必要があることから3DMCと同じ問題を抱えており,これらの代替手法が求められている。

そこで現在,人体姿勢推定アルゴリズムを用いたカメラベースのマーカーレスモーションキャプチャシステムが注目されている。しかし,こうしたマーカーレスシステムの場合,サンプリングレートや姿勢推定精度等の問題から,速い関節運動の測定が難しいという問題がある。特に,足関節角度の測定誤差が大きいなどの課題があった。

そこで研究グループは,映像から人体の関節点を推定する姿勢推定アルゴリズムOpenPose(OP)による姿勢推定と足に装着した小型の慣性計測ユニットを組み合わせた新たな歩行分析法を立案した。

16人の健康な成人男性が速度やつま先の向きなど4つの異なる条件でまっすぐ歩く様子を3DMCやRGBカメラで撮影した。撮影した映像から,歩行速度や歩幅,歩行周期などの歩行全体に関するパラメータに加え,各関節の角度などの各部の状態を定量化し,その妥当性の評価を行なった。

その結果,この手法では多くのパラメータにおいて従来法と同等もしくはそれ以上の高い精度での歩行分析が可能であることが実証されたという。また,足関節角度については,いずれの条件においても,従来法よりも誤差を抑制できることを見出した。

一方で,足のつま先を進行方向に対して外側に向けて歩く場合や過度な回転動作が加わる場合は,測定誤差が大きくなることもわかった。

研究では,健康な成人男性を対象としているが,今後は手法の改善に努めることや,歩行動作に不自由を感じている人や歩行困難な人も対象とし計測も行なっていくとのことで,今後の進展が期待されるとしている。

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