浜ホトのスライドスキャナ,FDAクリアランス取得

浜松ホトニクスは,病理向けガラススライド標本を画像データに変換するバーチャルスライドスキャナ「NanoZoomer(ナノズーマー) S360MD スライドスキャナシステム C13220-01MD」に対して,米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)より「FDA 510(k)クリアランス」を取得したことを発表した(ニュースリリース)。

「FDA 510(k)クリアランス」は,米国で医療機器を販売するための申請に対して与えられる認可。この製品は,10月4日より医療機器として米国の病院に向け販売を開始するという。

「ナノズーマー」は,組織などのガラススライド標本を高速かつ大量に自動でスキャンし高精細の画像データに変換するスキャナ。この画像データはバーチャルスライドと呼ばれ,パソコンのモニタ上で全体像から細部まで,顕微鏡のように拡大,縮小して観察することができる。また,ネットワークを経由し遠隔地から観察したり,施設間に構築されたデータベース上で画像を共有したりすることも可能なため,病理医の作業効率を高めるとする。

同社は,主に病理分野の研究用途として,世界中の研究機関や大学,病院などに向け4機種の「ナノズーマー」シリーズをラインアップしており,2015年には,欧州連合(EU)において体外診断用医療機器指令(IVDD)に基づくCEマーキング(EUで販売される指定の製品が基準に適合していることを証明する制度)に対応し,EUの医療機器市場に向け病理診断用途として販売。また,2022年にはEUの新たな規制である体外診断用医療機器規則(IVDR)に準拠した製品の販売を開始したという。

今回,「ナノズーマー」を米国でのデジタル病理診断用途向けに最適化することで,この製品の「FDA 510(k)クリアランス」を取得。これまで米国では研究用途として販売していたが,世界最大の医療機器市場を持つ米国において病理診断分野に参入し,市場からの要求に応えていくとしている。

さらに将来は,人工知能(AI)などを研究,開発するベンダーなどと連携し,画像の自動解析をはじめとする病理診断支援システムの開発を進めることで,病理分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していくという。

この製品の主な特長は以下のとおり。
・ハイスループット…1時間あたり82枚のガラススライドを画像データ化(40倍モード,15mm×15mm,5点フォーカス)。
・大量処理…1度に360枚のガラススライドを充填可能。
・スキャンモードを自由に選択…フルオートマチックモードと,ユーザがスキャン条件を設定できるセミオートマチックモードを自由に選択。
・画質確認サポート…QC(Quality Check)モードにより画質確認をサポート。

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