公大,太陽光で生分解性プラスチックを収率80%合成

大阪公立大学の研究グループは,水に不溶かつ強度のあるポリエステルで,包装材に使用されているポリヒドロキシ酪酸(PHB)の原料となる3-ヒドロキシ酪酸を,太陽光を利用した光酸化還元系と2つの酵素を組み合わせ,二酸化炭素と結合させたアセトンから約80%の高収率で合成することに成功した(ニュースリリース)。

プラスチックはその性質上,時間が経っても分解せず,自然に完全に分解するためには数百年かかるという欠点がある。この問題を解決するために,自然に分解される生分解性プラスチックに注目が集まっている。

生分解性プラスチックの合成には,微生物を直接用いる方法等もあるが,再生可能エネルギーである太陽光と地球温暖化の原因物質である二酸化炭素を原料とした新たな人工光合成技術を確立できれば,二酸化炭素を削減しながら生分解性プラスチックを作る革新的な方法になる。

生分解性プラスチックの中でも特に注目されているポリヒドロキシ酪酸(PHB)は,3-ヒドロキシ酪酸を重合して得られ,水に不溶かつ強度のあるポリエステルとして包装材等によく使われている。PHBの原料となる3-ヒドロキシ酪酸を二酸化炭素から合成することができれば,プラスチック問題と二酸化炭素削減問題の両方の解決に向けた大きな貢献となる。

研究グループは,光合成細菌中にアセトンカルボキシラーゼ(AC)と3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素(HBDH)という2種類の酵素を発現させ抽出し,色素と触媒で構成される光酸化還元系に加えた。この結果,二酸化炭素とアセトンを結合させ,ACの働きでアセト酢酸を生成し,アセト酢酸をHBDHの働きで3-ヒドロキシ酪酸に変換することができたという。

アセトンからの収率は約80%と非常に高く,この人工光合成を用いた新技術によって,高効率に3-ヒドロキシ酪酸を合成できることが明らかになった。研究グループは,工場等で排出される排ガスに含まれる二酸化炭素を用いた人工光合成による3-ヒドロキシ酪酸生成を目指すとしている。

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