自治医大ら,蛍光タンパクで機能するDNA組換え酵素

自治医科大学,名古屋大学,大阪大学,岡山大学は,赤色蛍光タンパク質依存的に組み換え酵素活性を発揮するCreリコンビナーゼ(Cre-DOR: Cre recombinase dependent on RFP)の開発に成功した(ニュースリリース)。

近年,神経科学分野では行動を制御する神経機構の解明について大きな進捗がみられるが,その多くは特定の神経細胞に限定した活動記録・活動操作を利用している。こうした細胞特異的な遺伝子発現制御を実現するため,loxP配列と呼ばれるDNA配列を特異的に認識するDNA組換え酵素Creリコンビナーゼが広く用いられている。

Cre-DORはRFP特異的に結合するナノボディを利用したSplit-Creの再会合により,その組み換え酵素活性を発揮する。また,Cre-DORを用いたRFP発現細胞特異的な順行性トレーシングにより,ラットの扁桃体内側核後背部に存在するガストリン放出ペプチド受容体発現ニューロンが,分界上床核に投射していることが明らかになった。

この研究成果により,赤色蛍光タンパク質を発現する遺伝子改変動物における遺伝子発現制御の選択肢が大きく広がることが期待されるという。

なお,この研究は赤色蛍光タンパク質を標的とした遺伝子改変技術の開発だったが,今後の発展としては内在性のタンパク質を標的とすることが考えられるという。これらの内容は公益財団法人栃木県産業振興センターの「世界一を目指す研究開発助成事業」に採択され,現在開発中だとしている。

その他関連ニュース

  • 東大ら,世界最高速の蛍光寿命顕微鏡を開発 2024年09月05日
  • 産総研,るつぼ内の金属の流動凝固をX線で可視化 2024年09月04日
  • 阪大ら,生体分子を光で不活性化できる技術を開発 2024年08月07日
  • 秋田大,Gタンパク質の活性化を蛍光で可視化 2024年08月07日
  • NTT,世界で初めて高精細な音の見える化を実現 2024年07月25日
  • 九大,神経細胞を7原色で染めつながりを自動解析 2024年06月26日
  • 東大ら,タンパク質間相互作用を超高解像度で可視化 2024年06月10日
  • 名大,ミトコンドリア内膜の特性を蛍光寿命で解析 2024年05月30日