群馬大学の研究グループは,ドローンに吊り下げたスクリーンに地上から映像を投影することで,広い空間で多くの人が見られる空中ディスプレー技術を開発した(ニュースリリース)。
近年,様々なイベントでドローンショーが利用されており,上空に映像を表示する技術に注目が集まっている。ドローンショーでは,一つ一つのドローンが数個のライトを保持しており,そのようなドローンを数多く空に浮かべることで光の点の集合として映像を表示している。
しかし,ドローンショーは数百機のドローンを同時に利用するために必要なコストが1000万円前後と高く,大規模なイベントでないと実施が難しいという問題点があった。
そこで,研究グループは単体のドローンが吊り下げたスクリーンに地上から映像を投影することで,比較的低コストに空中ディスプレーを実現するために,数10m以上離れた場所を飛翔するスクリーンを追跡しながらそこに映像を投影する技術を開発した。
この技術の核は,遠方を飛翔するドローンに吊り下げられたスクリーンに合わせて光の投影方向を高速に調節する仕組みにあり,これを3つの大口径の回転鏡と高速ビジョンセンサ,レーザープロジェクターを組み合わせて実現した。
実験では,飛翔するドローンが吊り下げたスクリーンにあわせて映像が投影されるように高速に鏡の角度を制御し,安定した映像投影を実現したという。
研究グループは,この技術は温泉などの観光地や花火大会などの各種イベントでの広告や演出,災害時の標識などへの活用が期待できるとしている。