ジェームズ ウェッブ望遠鏡,オリオン星雲の赤外像

東京大学が参加し,フランス,カナダら18カ国の研究者からなる国際研究チーム,PDRs4Allは,NASA,ESA,CSAが打ち上げたJames Webb Space Telescope(ジェームズ ウェッブ宇宙望遠鏡)で取得された,地球から1350光年離れたオリオン星雲の赤外線画像を公開した(ニュースリリース)。

ジェームズ ウェッブ宇宙望遠鏡は,NASA,ESA,CSAによって開発された,人類史上最も強力な宇宙望遠鏡。この望遠鏡は金メッキされた18枚の六角形のセグメント鏡による主鏡(幅6.5m)と,主鏡が搭載されるテニスコートほどの大きさの5層のダイヤ型の遮光板からなる。

太陽系が誕生した45億年以上前の環境と似ていると考えられてきたオリオン星雲の観測は,太陽系の惑星進化の最初の100万年間に何が起こったのかを推測するために,長年大きな関心を集めてきた。

今回,ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡は,オリオン座にある星の苗床であるオリオン星雲の内部を,これまでにない詳細かつシャープな画像で捉えた。画像には,星雲の内部に,太陽系の大きさに匹敵するような壮大な構造を多数確認した。

オリオン大星雲のような星の苗床の中心部は,大量のダストに覆われているため,ハッブル宇宙望遠鏡のような可視光望遠鏡では内部を観察することができない。ウェッブ望遠鏡は赤外線を検出し,星雲の奥深くで起こっている現象を明らかにしながら,ダストの層を見通すことができる。

オリオン大星雲の中心には,若い大質量星からなる,トラペジウムと呼ばれる台形の散開星団があり,強烈な紫外線がダストとガスの雲を形作っている。この強力な紫外線が周囲にどのような影響を与えるかを理解することは,太陽系のような恒星系の形成を理解する上で重要な課題となる。

今回のデータは,太陽系スケールまでの構造を精緻に解き明かし,新しく生まれた大質量星が周りのガス,ダストにどのように影響を与え,恒星,惑星系を形作っているのかを解明する重要な手がかりを与えるものと,研究グループは期待している。

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