富士通,1波1.2Tb/sの水冷デジコヒ伝送装置を開発

富士通は,光1波あたり1.2Tb/sの大容量伝送が可能なデジタルコヒーレント光伝送技術の開発に成功し,実際の光伝送装置として通信が可能なことを確認した(ニュースリリース)。

5Gの次世代の通信規格5G-Advancedや6Gの検討が進められており,そこでは5Gのおよそ100倍の情報処理量が見込まれている。一方,光の歪などにより信号の変調速度に限界があり,光1波で伝送可能なデータ容量が限られてしまう課題があった。またネットワーク全体での低消費電力化,CO2排出量の削減も通信事業者にとって大きな課題となっている。

この技術は,①テラビット光伝送システム技術,②世界初となる光伝送装置への水冷技術,③機械学習を用いた光ネットワークモニタ技術の3つの独自技術を適用して実現した。

①テラビット光伝送システム技術
世界初の140Gbaudの高速信号を伝送可能とするデジタル信号処理LSI(DSP)と狭線幅波長可変レーザーを適用し,さらに送受信デバイスや光伝送路に発生する光波長の歪を高精度に補償する独自技術を組み合わせることにより,世界最高となる1波あたり1.2Tb/sの大容量伝送を実現した。

また光通信においては,一般的に伝送容量が増加すると通信できる距離が短くなる傾向があるが,今回の技術を適用することで,従来技術と比較して同じ伝送容量(@800Gb/s)で4倍以上の到達距離性能を実現した。

②世界初となる光伝送装置への水冷技術の適用
同社のスーパーコンピュータの知見を生かし,世界で初めて光伝送装置に水冷技術を適用した。高信頼性やメンテナンス性を保ちながら,冷却効率を向上させ,伝送容量(Gb/s)あたりの消費電力が世界最小の120mWとなる低消費電力化を実現した。

光伝送装置全体では空冷方式を採用した従来の装置と比較し3分の1の小型化,軽量化も図り,輸送時に発生するCO2排出量や,使用終了後の廃棄量削減によるCO2排出量を削減する。

③機械学習を用いた光ネットワークモニタ技術
従来の光ネットワークでは,必要とされる通信容量を常に安定して確保できるように,運用環境により変化する光ファイバーの性能や光伝送システム単体の状況など,ネットワーク設計時に必要となる条件を厳しく見積もって設計していた。そのためネットワークが本来持つ性能を効率良く引き出せず,消費電力の増加や伝送容量の減少を招いていた。

今回機械学習を用いたネットワークモニタ技術により,光ファイバーや光伝送システムなどの光ネットワーク構成要素の状況を自動で高精度にとらえ分析することができるようになる。この結果を用いて,ネットワーク構築時のDSPの変調方式や構成要素の設定に生かすことにより,消費電力を抑えつつ,光伝送装置の持つ伝送性能を最大限に引き出したネットワークの構築が可能だとしている。

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