理科大ら,新たな炭素ナノリングの合成法を確立

東京理科大学,東京工業大学,京都大学は,以前に研究グループが発見した環状有機金錯体を経由するシクロパラフェニレン(CPP)の合成法について,環状有機金錯体の生成機構を明らかにする過程で,その環状錯体化には金-炭素結合の迅速な交換反応が関与する動的共有結合性を明らかにし,その交換過程の反応機構を提唱した。またこの動的共有結合性を応用することでCPP類の効率合成や大環状金錯体の再組織化を利用したCPP合成法の拡張に成功した(ニュースリリース)。

CPPはナノサイズの環状化合物で,環状のπ共役系に基づく多彩な電子的・光学的性質を持つ機能性有機化合物。研究ではまず種々のオリゴフェニレンジボロン酸エステル[pinB-(C6H4)x-Bpin] (L3-L5) (x =3, 4, 5)(Bpin=ピナコールボロン酸エステル)と二核金(I)錯体 [Au2Cl2(dcpm)] (dcpm=ビス(ジシクロへキシルホスフィノ)メタン)の反応によって,三角形大環状錯体 [Au2(C6H4)x(dcpm)]3 (Au-3-Au-5) (x =3, 4, 5) が収率70%で生成することを見出した。

次に三角形大環状錯体(Au-3-Au-5)の角を切り出した金錯体[Au2Ph2(dcpm)] (AuC-HH)とそれをフッ素でマーキングした金錯体[Au2(C6H4-4-F)2(dcpm)] (AuC-FF)を反応させると,Ph基と(C6H4-4-F)基が速やかに交換し,[Au2Ph(C6H4-4-F)(dcpm)] (AuC-HF)が生成することを見出した。

これによって,金―炭素結合が迅速に交換可能な動的共有結合性を持つことを見出し,三角形大環状錯体の生成にはこの動的共有結合性による熱力学的支配が関与することを明らかにした。

最後に2種の異なる大環状金錯体を混合することで,金-炭素結合の交換反応を起こし,異なるオリゴフェニレンリンカー((C6H4)x)が組み込まれた三角形大環状金錯体を形成させ,脱金属反応を経ることによって様々な数のフェニレンユニットを持つ[n]CPPの混合物を得るという新規合成法も開発した。これを再組織化法と命名し,金-炭素結合が示す動的共有結合性の応用法として示した。

この研究で明らかにした金―炭素結合の動的共有結合性は,様々なCPPや関連するナノフープの合成を可能にするだけでなく,金―炭素結合を使った金属有機構造体(MOFs)などへの応用が期待されると研究グループはしている。

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