理研ら,オキシトシン神経細胞の脈動を可視化

理化学研究所(理研)と福島県立医科大学は,母体における出産・授乳時に鍵となるホルモン物質オキシトシンを作る神経細胞(オキシトシン神経細胞)の脈動をリアルタイムに可視化する技術を開発した(ニュースリリース)。

オキシトシンは出産時の子宮収縮に働くことが知られており,陣痛促進剤として利用されている。また,授乳時には母乳を乳腺から放出させる射乳と呼ばれる機能にも必須。陣痛や射乳に際して,オキシトシンは数分に1回の波(パルス)として脳下垂体から分泌され,子宮や乳腺に到達するが,このリズムを作り出す仕組みはよく分かっていない。

研究グループは,脳視床下部室傍核のオキシトシン神経細胞の活動を視覚的に捉えるため,カルシウムイオン(Ca2+)センサーとして働くタンパク質GCaMPを妊娠している雌マウスに発現させた。一般に,神経細胞が活動すると細胞内Ca2+の濃度が上昇し,GCaMPの蛍光強度の変化として可視化できる。

GCaMPが正しくオキシトシン神経細胞に発現し,それ以外の細胞に発現していないことを確かめてから,室傍核の直上に光ファイバーを設置した。出産予定日の前日から,雌マウスをファイバーフォトメトリーにつないで出産,その後の授乳の様子を観察した。GCaMPの蛍光強度を捉えるのに加えて,マウスのケージを横と下からビデオ撮影し,母仔の様子も記録した。

その結果,出産・授乳におけるオキシトシン神経細胞の脈動をリアルタイム・長期的に直接観察できることが初めて示された。また、オキシトシン神経細胞への入力神経マップを作製し,これを基に特定の神経細胞を活性化することで,母体におけるオキシトシンの脈動を人為的に操作できることを示した。

この成果は,出産や授乳におけるオキシトシン神経細胞の脈動を作り出す分子基盤や神経回路基盤の解明に貢献するもの。研究グループは,授乳の「質」や「量」に影響を与える遺伝的要因と環境因子の探索を促進し,授乳期のQOLの改善に貢献する技術の開発につながるものだとしている。

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