⽇本電気硝⼦は,5Gのミリ波無線通信技術に対応する,ガラス基板を⽤いた「透明アンテナ」と,電波レンズを⽤いた電源不要の「リピーター」を開発したと発表した(ニュースリリース)。
5Gには,Sub6(6GHz未満)とミリ波(28GHz)の2つの周波数帯の電波が使⽤されているが,⾼速通信を実現するには広い帯域の確保が可能なミリ波帯の利⽤が必要となる。しかし,ミリ波帯の電波は⼤気中での減衰が⼤きく,また直進性が⾼いために遮蔽物の背後に回り込みにくいという性質があり,広いエリアをカバーするにはこれらの課題を解決するしくみが必要とされていた。
今回開発した「透明アンテナ」は,世界最⼩の⽐誘電率4.0・誘電正接0.002を有するガラス基板上に特殊なアンテナパターンを施したもので,透明かつ効率の良いアンテナとなっている。このガラス基板は⼤型化が可能であるため,多⾯取りが可能になるなどアンテナの⽣産性向上に寄与することに加えて,⼀枚の基板上に複数の帯域のアンテナを形成することも可能だという。
アンテナを透明にすることにより取付場所のデザインや景観を損なわずにアンテナの機能を付与することができ,窓や壁,ディスプレーや⾞などさまざまな箇所に設置が可能だとする。
もう1つの開発製品である「リピーター」は2つの電波レンズと導波管から構成され,このリピーターを使⽤することにより,壁や窓ガラスなどで電波が遮蔽される状況下でも電源を⼀切使わずに電波のやり取りをしたり,電波の⽅向を変えたりすることが可能。
レンズの形状を変えることにより,電波を⼀定⽅向に送ることも,広い範囲に送ることもできるという。ガラス製であるため紫外線による劣化が少なく,屋内外のさまざまな場所で⻑期間安定して使⽤できるとしている。