ソニーグループは,米子会社Sony Corporation of America(SCA)が,宇宙光通信事業を行なう新会社「Sony Space Communications Corporation(SSC)」を6月1日に設立したと発表した(ニュースリリース)。
現在,宇宙空間には約12,000機の人工衛星があり,今後も増加が見込まれている。併せて,地球周回軌道における衛星での通信量も年々増加しており,利用可能な電波による通信量の限界が指摘されている。
また,低軌道衛星は地上との通信が必要であり,大容量の通信を行なうためには大型の通信機器が必要であることや地上局の上空を衛星が通過するタイミングでしか通信を行なえないなどの制約があり,即時性に欠けるという課題がある。さらに,現在利用されている電波は周波数免許が必要なことや,衛星の小型化に伴う通信機器の低消費電力化も課題となっている。
SSCはこれらの課題を解決するために,低軌道の超小型衛星間を光で接続する小型光通信機器の開発と関連サービスの提供を計画。光通信を利用することで,従来の電波通信では物理的に実現が困難な大容量通信を小型機器で実現していくとしている。
また,衛星と地上間のみならず,衛星間の光通信網を構築することで,地上のどこからでも,どの衛星へもリアルタイムに通信が可能になることを目指す。また,免許が必要な電波通信と比較して取り扱いやすい光通信を超小型衛星にも搭載できる通信機器として衛星開発関連企業等へのサービスとして提供する予定だという。
さらに,利用しやすい通信機器および衛星間通信サービスの提供により,宇宙空間で利用可能な通信量を増やし,宇宙空間を含めた地球全体をカバーするインターネット通信網の実現とリアルタイムサービスなどのアプリケーション実装も目指すとしている。