東大,新しいカイラル有機強誘電体を発見

東京大学の研究グループは,新しいカイラル有機強誘電体を発見した(ニュースリリース)。

研究対象としたのは,BINOL・2DMSと呼ばれる分子性結晶。カイラル分子(BINOL,1,1’-bi-2-naphthol)からなるフレーム中に極性分子(DMSO,dimethyl sulfoxide)がゲストとして取り込まれた結晶構造を有する。

190Kでゲスト分子の配向自由度が秩序し,結晶の対称性が破れることで強誘電転移が起きる。カイラルかつ有機物の強誘電体はこれまで数件しか報告されておらず,誘電体研究における重要な進展といえるという。

近年,有機強誘電体やカイラル結晶は広く興味を集めており,研究グループは,この物質も新たな誘電物性研究の舞台として進展が期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 東大,シリコンウエハー上に強誘電体結晶薄膜を作製 2024年07月19日
  • 九大,Beyond5Gに向けた超高速光データ伝送を加速 2024年07月17日
  • 名大ら,新奇な誘電率増強効果を発見 2024年06月25日
  • 分子研ら,キラリティによる左右円偏光の選択性発見 2024年06月06日
  • 東大,大規模集積回路に適した不揮発光移相器を実証 2024年05月10日
  • 東北大ら,強誘電体の分極反転挙動をナノ分解能計測 2024年05月08日
  • 東工大ら,優れた円偏光発光特性のらせん状分子合成 2024年04月22日
  • 北里大ら,円偏光発光を生むキラル誘起添加剤を開発 2024年02月22日