東大ら,開発したコーティングに光触媒機能を発見

表面修飾技術の超越化研,総合科学研究機構,東京大学は,紙に高い耐水性と適度な強度を付与する,環境負荷の少ないシリカコーティング「超越コーティング」内に光触媒効果を示す酸化チタンナノ粒子が自発的に作られること,光触媒効果により優れた汚れ防止効果・抗菌作用を発揮することを発見し,このコーティングと光触媒効果の結果として,基材を長期間にわたって保護できる高機能保護膜が得られることを発見した(ニュースリリース)。

プラスチックに代わる生分解性材料の開発が求められている。古くから様々な用途に用いられてきた紙は環境に優しい材料だが,特に水に弱いためプラスチックの代用品にはなりにくい。

研究グループは紙をプラスチックの代用品として用いるために有効なシリカコーティング技術「超越コーティング」を開発した。有機シラン化合物を主原料とする液剤を紙に塗布して乾燥させることにより,高い耐水性と適度な強度を有し,環境負荷の少ない材料が得られるという。

研究では紙やガラスなどの基材表面において,超越コーティングにより形成された厚さ数ミクロンの層の性質を調べた結果,多くの空隙を含むポーラスな構造をもつこと,その中に大きさ2nm程度のアナターゼ型酸化チタンナノ粒子が均一に生成していることを発見した。

酸化チタンナノ粒子は,有機シラン化合物を主成分とする液剤に反応促進剤として微量添加された有機チタン化合物に起因する。有機シラン化合物の脱水重合反応の過程で生成された酸化チタンナノ粒子がシリカ層に取り込まれたものと考えられるという。

コーティングを施したガラス基板でメチレンブルーの脱色試験を行なったところ,暗所ではポーラスな構造にメチレンブルー分子が吸着されること,明所では加えて分解反応が起きた。さらに,黄色ブドウ球菌を用いた結果,特に明所で顕著な滅菌作用が観測された。

この原因は,コーティング層中のアナターゼ型酸化チタンナノ粒子の光触媒効果にあるとし,結果として,コーティングされた基材は自然環境中で汚れや菌類から保護され,長期間に渡って安定に存在できるという。

このコーティングは,液剤を塗布して乾燥するだけで,アナターゼ型酸化チタンナノ粒子を含むシリカ保護膜が基材に強固に固定されて生成する。一方,このコーティング膜は,酸化チタン量が少なく通常の光触媒材料と比べて温和な光触媒効果を示す。

通常の光触媒材料では,光触媒効果により基材や接着剤自身が分解される経時劣化がしばしば問題となるが,このコーティングは基材の持続的な優れた保護膜として働き,セラミック,プラスチックなどにも有効なことから,研究グループは,持続可能な社会の実現に向けて重要な役割を果たすとしている。

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