東工大ら,世界最小サイズの発光酵素を開発

東京工業大学と島津製作所は,世界最小サイズの発光酵素「picALuc」を開発した(ニュースリリース)。

現在,レポータータンパク質としてさまざまな発光酵素が利用されている。

レポータータンパク質としての発光酵素には,明るさや熱安定性等の高さに加えて,サイズの小ささが求められる。その理由として,発光酵素のサイズが大きいと,標的の挙動を阻害する可能性があることがある。また,発光酵素が大きいと,標的と発光酵素との融合タンパク質を作製した時に,正しい構造の融合タンパク質が生成しにくいこともある。

研究グループは,カイアシ類由来発光酵素ALuc(21kDa)の発光活性を維持したまま,分子量が13kDaになるまでALucを削ることにより,新規発光酵素picALucを開発した。13kDaというサイズは,これまでに開発されている実用レベルの発光酵素の中で最小のサイズだとする。

開発したpicALucを,哺乳類由来培養細胞であるCos-7細胞に発現させた時の発光値を調べたところ,既存の発光酵素の中でも高い発光活性をもつALucやトゲオキヒオドシエビ由来NanoLucと同等の発光値を示した。さらに,大腸菌を利用してpicALucを大量作製することにも成功した。

次にpicALucの安定性を検討した。熱安定性については,レポータータンパク質として汎用的に利用されているホタル由来FLucを60℃で5分間インキュベーションすると全く光らなくなるのに対し,picALucは80℃で10分間インキュベーションしても,80%以上の発光値を示した。さらに37℃で24時間インキュベーションした後も,ほぼ100%の発光活性を維持した。

一方,pH条件に対する安定性については,塩基性条件(pH9.5)において,中性条件(pH7.0)の80%以上に相当する発光値が測定された。picALucを分子間相互作用検出のための汎用法である生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)ベースアッセイに用いたところ,NanoLuc(19kDa)よりも高い応答を観察した。このことから,picALucのレポータータンパク質としての優位性が示されたとする。

研究グループは,picALucを利用した創薬スクリーニング系や診断薬,検査薬の開発を目指して,picALucの機能向上と用途拡大に向けた研究開発を進める。なお,picALucの用途拡大を実現するため,島津製作所より試供品が提供される予定だとしている。

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