アダマンド並木精密宝石は,超高純度の直径2インチのダイヤモンドウエハーの量産技術を開発した(ニュースリリース)。
量子コンピュータに使う量子メモリや超高感度の磁気センサーには窒素濃度3ppb以下(ppb=10億分率)の超高純度ダイヤモンドが用いられ,開発が加速しているが,これまで,市販されているダイヤモンド結晶は4mm角程度の寸法でしかなかく,研究用に使えても,実用上使うことができなかった。
両者は共同研究で,独自のステップフロー成長法を用いて直径2インチの高品質ダイヤモンドウエハー(商品名:KENZAN Diamond)を開発したことを2021年9月9日に発表した。これは,数度傾斜させることで,原子レベルで階段構造にした基板をダイヤモンド成長に用いる結晶成長方法。
このダイヤモンド結晶成長技術では,成長速度を高く維持するために,窒素ガスを結晶成長中に使わなければならず,そのため数ppmの濃度の窒素不純物がダイヤモンド結晶に混入してしまい,量子コンピュータには使えなかった。
そこで、アダマンド並木精密宝石では,結晶成長で窒素の混入を極力抑えて,超高純度の直径2インチのダイヤモンドウエハーの量産技術を開発した。今回開発したのは,超高純度で直径2インチ(約55ミリメートル)のダイヤモンドウエハー。
同社では今後,量子コンピュータの実現につながることが期待されるとして,2023年に製品化を予定している。