島津製作所,京都大学,京都大学発スタートアップのSymbiobeは,令和3年度JST共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)「ゼロカーボンバイオ産業創出による資源循環拠点」事業に参画し,大気中の二酸化炭素や窒素を固定する海洋性光合成細菌を活用して,温室効果ガスを削減しながら様々な製品や有用物質の生産を目指す(ニュースリリース)。具体的にはバイオプラスチック,タンパク質などのバイオ高分子の生産や,その過程で生じる光合成代謝産物を利用した農業用窒素肥料,水産養殖用飼料の開発を進める。
海洋性光合成細菌を利用して,効率的に二酸化炭素や窒素の固定を行ない,生産物の原料をより多く合成するためには,大規模な培養が必要となる。今回,京都大学桂キャンパス内に海洋性光合成細菌培養デモンストレーションプラント(デモプラント)を設け,稼働を開始した。これまでの実験では,培養容量の上限は1000Lだったが,今回のデモプラントでは大容量(4000L)の培養に取り組む。
Symbiobeは,京都大学の研究成果を基に,2021年1月に設立されたベンチャー企業。京都大学はこれまでに,海洋分解性バイオプラスチック(ポリヒドロシキアルカン酸)の合成や,タンパク質繊維(人工クモ糸)の合成に成功するなど,海洋性光合成細菌による様々なバイオ高分子の生産について成果をあげてきた。
この事業では,「デモプラントにおける光合成細菌の培養条件最適化」と,「デモプラント稼働後の運転・モニタリング」を,京都大学による技術指導のもと担当する。
島津製作所はこの事業において,デモプラントにおける二酸化炭素や窒素の固定化定量データの計測並びに収集プロセス構築を担当する。計測にあたっては,全有機体炭素計(TOC計)やガスクロマトグラフ(GC)などの分析機器を用いる予定で,今後も海洋性光合成細菌培養の実証実験に協力するとしている。