東大ら,場の量子論に新しい量子的対称性を発見

東京大学と米ニューヨーク州立大学は,粒子間の相互作用を記述する枠組みである連続的場の量子論において,「非可逆的対称性」と呼ばれる新しいタイプの対称性を系統的に発見する手法を発見した(ニュースリリース)。

対称性は理論物理学において必要不可欠であり,特に場の量子論の研究においては大きな足掛かりとなってきた。

「非可逆的対称性」はそのような対称性を一般化する試みで,通常の対称性は逆操作を伴うが,「非可逆的対称性」においてはこの制限を取り除くことで,通常の対称性に乏しい系でも解析を可能にすることが期待されている。

特に,この操作は巨視的な量子的重ね合わせを生み出すことができるが,私たちの住む3次元空間上の粒子の相互作用を記述する連続的場の量子論においては,具体例が知られていなかった。

今回研究グループは,いくつかの3次元連続場の量子論の模型,特にゲージ理論において,「非可逆的対称性」が存在することを発見した。ゲージ理論は,電子などの荷電粒子と,光子やその一般化であるゲージ粒子との相互作用を記述する。発見された「非可逆的対称性」は,このゲージ場や電磁場の磁場成分に作用する。

この手法は,イジング模型と呼ばれる磁化を記述する基本的な模型に存在する「非可逆的対称性」の構成を一般化することにより発見された。

「非可逆的対称性」が我々の住む3次元空間における場の量子論において発見されたことは,我々の世界を直接記述するような模型への応用の端緒となることが期待される。特に期待される応用は,前述のクォーク閉じ込め問題を含むハドロン物理学と,素粒子標準模型を超えた理論の構築だという。

研究グループは,通常の対称性の理論物理学における役割の大きさを考えると,「非可逆的対称性」も同様に,これらに留まらない様々な場面,分野において,多様な応用が見出されることが期待されるとしている。

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