富士フイルムとダイキン工業は,メタマテリアルを応用した空調機の新たな静音化技術を実用化したと発表した(ニュースリリース)。
ダイキンの加湿・換気機能付きエアコンは,屋外から取り込んだ空気を,室内機と室外機をつなぐ搬送ホースを介して室内へ送っている。
加湿・換気量を増やすためには,このホースの口径を大きくすることが必要だが,このホースと冷媒配管を通す壁の貫通穴の大きさが決まっているため,その口径を大きくすることは難しい。そこでダイキンはこれまで,高性能な換気ファンを開発・搭載することで,加湿・換気量を確保しながら送風音を低減し,静音化を図ってきた。
一方,富士フイルムは「風は通し,音は通さない」というコンセプトで,光と同じ波動性を有する音響分野に,メタマテリアルを用いて光の波動を制御する技術(メタマテリアル技術)を応用し,通風防音材による静音化技術を開発。これまで困難であった,換気に必要な通風量の確保とそれによって発生する送風音の低減の両立を実現した。
ダイキンは,この技術の実用化に向けて,加湿・換気機能付きエアコンにこの通風防音材を実装した結果,加湿・換気量を確保しながら運転時の送風音を20%以上低減することができたという。
今回の成果を踏まえ,ダイキンは実用化した通風防音材を「加湿・換気静音キット」として,発売中の2022年ルームエアコンのオプション品として今春より販売する。さらに,無給水加湿機能に加え,給気・排気換気機能を充実させた商品の付加価値を高めるとしている。