光技術展示会「光とレーザーの科学技術フェア2021」(11月17日(水)~19日(金),東京都立産業貿易センター浜松町館)において,東京工業大学 未来研 宮本智之研究室は,光無線給電とデモの様子を紹介する(可視光・次世代レーザー応用ゾーン ブースNo.3V-17)。
無線給電技術,特に自動車のEV化では走行中の給電など新たな技術の可能性が話題となっている。一般的にここでは電磁誘導による給電の研究が注目されているが,マイクロ波を用いるこの方式はノイズが出るほか,遠距離の給電が不得手,消費電力が膨大,インフラ整備に多大なコストがあるといった問題が社会実装への障壁となっている。
ここで紹介するレーザーやLEDを用いた光無線給電はノイズが出ず,長距離もビームで給電可能,回路もシンプルで消費電力やコストの面などでも優れる。今のところ見通しの効く範囲でしか給電できない,安全性の確保といった課題があるものの,例えば空中のドローンに対しては唯一の無線給電技術となる。
現在は電磁誘導ありきで進んでいる無線給電技術だが,限られたエリアで活動するロボットやAUVに対する給電に応用すれば,重くて高価なバッテリーを必要とせず,安価な光給電技術によって電力によって行動範囲を規定されないシステムが構築できる可能性がある。
同研究室では,適材適所での光給電技術の利用を目指すとしており,展示会場では水中AUVに光無線給電を適用したデモの映像や,この技術に利用する太陽電池,その太陽電池を装備した自動車の模型などを展示している。