トヨコーは,高出力レーザーでサビや塗膜などの付着物を除去する装置「CoolLaser(クーレーザー)」の実用化モデル「CoolLaser G-19」を開発したと発表した(ニュースリリース)。
近年,インフラの老朽化や土木建設業界の人手不足,維持管理・更新費の財政圧迫などの理由からインフラ維持管理に関するコスト削減や効率化に対するニーズが高く,その解決策としてレーザー適用への期待が高まっている。
しかしながら,従来のレーザーでは照射処理の速度が遅かったり,厚みのある対象物の除去が困難であったり,照射処理後に酸化被膜が形成されるなど様々な課題があり,現在に至るまで実用化が進まず普及に至っていない。
製品は,屋外工事を目的としたレーザー装置の出力量としては世界最高峰の6kWで,これまで同社が開発していた従来モデルと比較してレーザー出力が2倍となり,施工スピードが約3~4倍(同社実験による)アップしたという。
また,今までレーザー業界では実用化が難しいと言われていた鉄橋や鉄柱,プラント等の屋外工事において,100µmのサビや300µmを超える塗膜といった分厚い対象物を除去することができるとしている。
この製品は,従来のレーザークリーニング装置に使われるパルスレーザーではなく,連続波(CW)レーザーを採用し,平均的に高い出力を保つことができる。また,高出力化に伴い除去後の表面に残る熱影響を抑える事で酸化被膜の形成を抑制する事にも成功したという。
高温により生成する酸化膜は,温度によってその厚みが変わり,光の干渉作用によって様々な色に発色したり,膜厚が厚いと黒色に見えることが知られている。今回,鉄鋼にレーザーが吸収され鉄が温まるよりも早く,鉄鋼表面の付着部を瞬時に溶融,蒸発,飛散させることで鉄鋼自体の温度の上昇を抑制し,酸化被膜が形成されにくくなった。
同社ではこの製品により,サビや塗膜,塩分まで除去する事による構造物の長寿命化への貢献,サビ・塗膜などの除去時に廃棄物が出にくいため地球環境を汚染しないといったメリットがあるとしている。