兵庫県立大学とKDDI総合研究所は,Beyond 5G/6G時代に求められる処理性能と安全性を備えた新しい共通鍵暗号アルゴリズム「Rocca」を開発した(ニュースリリース)。
Beyond 5G/6Gでは100Gb/s超の通信速度を目標に研究開発が進められている。
大容量映像伝送などの超高速通信が求められるサービスを実現するには,同様の処理性能を持つ暗号アルゴリズムが必要になる。Beyond 5G/6G時代に求められる共通鍵暗号技術の要件として,
・ 通信速度のボトルネックとならない100Gb/s超の処理速度
・ 量子計算機による解読への耐性を持たせるため,256 ビットの鍵長をサポート
・ 暗号化と認証機能を統合しデータが改ざんされていないことも保証可能なアルゴリズム(認証付き暗号)
の3点があった。
開発した認証付き暗号アルゴリズム「Rocca」は,PCやスマートフォンのCPUで高速に処理可能な演算(AES-NIを含む)を主な構成要素とし,それらを効率よく並列処理することで高速性を実現している。加えて,十分な安全性が確保できる構造に配置することで,高速性と安全性を両立した。
米国標準暗号アルゴリズムとして広く使用されているAESとの速度比較において,AESがAES-NIを利用しない場合で100倍以上,AESがAES-NIを利用した場合でも約4.5倍の高速化を達成した。
また,256ビットの鍵長に対応する認証付き暗号アルゴリズムとして初めて100Gb/sを超える138Gb/sの処理性能を実現しており,これはソフトウェア実装された256ビットの鍵長に対応した認証付き暗号の計測結果として世界最速だという。
研究グループは今後,アルゴリズムのさらなる高速化に取り組むとともに,外部機関とも連携した詳細な安全性評価を実施していく。将来の実用化に向け,スマートフォン上での動作など実際の利用を想定した環境での性能評価についても取り組んでいくとしている。