神大,変色・退色しない構造色インク材料を開発

神戸大学イノベーションは,半永久的に変色・退色しない構造色カラーインク材料を開発した(ニュースリリース)。

従来の顔料や染料は,発色する色素原子が徐々に分解され,変色・退色することが実情だった。

また,色素を用いない構造色の発色手法が注目されているが,発色の角度依存性が高いことや,高解像度が実現できないことが課題となっていた。

このインクに使用する原料は,環境にやさしく,化学的に安定な結晶シリコンナノ粒子。発明者らは,真球に近い形状のシリコンナノ粒子を作製する技術をもっている。これらの粒子を粒径ごとに分離し,個々が発色する原理を利用して,構造色カラーインク材料を開発した。

通常の構造色とは異なり,個々のナノ粒子が発色源となる為,半永久的に変色・退色しないことに加え,観測角度に依存せず,高解像度であることが特長とする。また,シリコンナノ粒子が,分散溶液(インク)を形成する為,大面積へ印刷・塗布することができるという。

この材料は,塗料・顔料のようなカラーインク用途から,印刷・化粧品・バイオ材料用途まで,幅広い用途での応用が可能。また,高解像度である特徴を生かし,マイクロディスプレーへの応用も期待できるとしている。

その他関連ニュース

  • 神大,構造色インクで世界最軽量クラスの塗装を実現 2024年01月31日
  • 信州大ら,複雑な構造色の重ね合わせに成功 2023年10月24日
  • 国立遺伝学研究所,花の構造色の因子を絞り込み 2023年09月20日
  • 名大,角度依存性の無いコレステリック液晶を開発 2023年07月27日
  • NIMSら,構造色による気体識別用感圧デバイス開発 2022年11月28日
  • 琉球大ら,透明な巻貝から新規の光反射構造を発見 2022年11月01日
  • 神大,ケイ素ナノ粒子で高耐候性構造色インク開発 2022年05月11日
  • 富士フイルム,構造色をインクジェットで印刷 2022年03月24日