神大ら,子供の成長を促す投影システムを開発

神戸大学,多摩美術大学,東京理科大学は,子どもの社会的な成長を促す魅力的な遊びを提供するシステムを開発した(ニュースリリース)。

幼少期から児童期における遊びは,子どものコミュニケーション能力や感情表現等の発達を促す。

そのため,子どもを遊びに引き付ける機会を提供することは社会的に重要な課題となる。そこで,研究では魅力的な遊びを提供するインタラクティブな床面投影システムを開発した。

研究では,より魅力的な遊びを提供するシステムの探求のために,インタラクションの在り方に着目して,開発したシステムが提供する現実的なインタラクションと非現実的なインタラクションの効果の違いを検証した。

検証には,神戸大学附属小学校に所属する小学3年生20名,4年生10名(男性14名,女性16名)が参加した。システムの有効性を評価するために,システムが魅力的な遊びの各要素(興味・想像力・愛着・没入感)に及ぼす効果を検証した。参加者は,システムによって提供される2種類(現実的・非現実的)の足跡を体験した。

このシステムの効果については,質問紙調査および視線計測を用いて評価した。質問紙調査は興味・想像力・愛着・没入感に関する計20項目の設問で構成されており,回答形式として7段階リッカート尺度を用いた。参加者は各動作の体験後に回答した。

また,アイトラッカーを用いて,システムで提供される足跡とのインタラクションを体験している児童の視線を計測した。

質問紙調査の各項目において,2種類のシステム間で生じる回答の差異について検定を行なったところ,非現実的なインタラクションは現実的なインタラクションと比較して,より想像力を促す傾向にあることが示されたという。

また,視線計測を行なった結果に関しても,同様の傾向が示された。以上より,非現実的なインタラクションはより魅力的な遊びを提供する傾向にあることが明らかになったとした。

研究グループは現在,より多くの人が同時に遊べることを可能とするために,複数のシステムを連携させる研究を行なっている。このようなシステムを実現することで,子どもたちの社会的な成長をより促進させることを目指すとしている。

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