NTTアドバンステクノロジは,inQsが開発したSQPV(Solar Quartz Photovoltaic:無色透明型光発電素子技術)を活用した無色透明発電ガラス(発電ガラス)の販売を開始し,学校法人海城学園に導入したことを発表した(ニュースリリース)。
NTTグループでは,革新的な技術によってスマートな世界を実現するIOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)構想を提唱し,光電融合デバイス技術を活用した超低消費電力技術等の取り組みを進めている。
構想の一環として,地球温暖化対策,再生可能エネルギーのさらなる活用,限られたエネルギー資源の有効利用などを目指したスマートエネルギー事業の取り組みも推進している。
こうした取り組みの中で,同社はinQsが開発した省エネルギー化を実現するSQPVを活用した発電ガラスの独占販売権を取得し,販売に向けた準備を進めてきた。SQPVは,可視光を最大限透過しつつ発電する技術であり,一般のガラスが使える全ての用途に発電と遮熱という機能をつけて利用できるとする。
SQPVを活用した発電ガラスは,表面・裏面および斜めの面から入射する太陽光からも発電が可能なため,既存の窓の内側から取り付ける内窓方式でも,それまでの採光や視野に影響を与えることなく発電・遮熱機能を付加することが可能だという。
また,天井がガラス張りのガラスハウスなどでは,北面でも天井からの日射があれば発電が可能なため,一般のガラス並に可視光を透過しつつも,赤外光を吸収(遮熱)する特長を活かし,どんな場所でも,デザイン性の高い省エネルギー発電・遮熱ガラス材料としての用途開拓が可能。この技術ではレアアースなどの希少かつ高価な材料を用いないとしている。
海城学園では第一段階として,約28cm角の発電ガラスを9枚配置した展示学習用教材を導入しており,11月頃までに,温室の壁面に120枚の発電ガラスが内窓として取り付けられる予定。同社とinQsは,今後も発電の性能向上や屋外設置技術の確立に取り組み,発電ガラスの適用領域拡大に取り組むとしている。