住友化学は,最先端プロセス向けフォトレジストの生産体制を強化すると発表した(ニュースリリース)。
大阪工場で,液浸ArFおよびEUVフォトレジストの製造ラインを増設するほか,同社100%子会社である東友ファインケムの韓国益山工場に,液浸ArFフォトレジストの製造プラントを新設する。稼働開始について,大阪工場は2023年度上期を,東友ファインケムは24年度上期を予定している。
同社は,感光性樹脂であるフォトレジストについて,各種ファインケミカル事業で培った有機合成技術をベースに高度な製品設計・評価技術を確立し,大阪工場を中核にタイムリーな顧客対応力などを生かして事業を拡大してきた。
その中でも,微細加工を要する最先端プロセスで主として使用される液浸ArFフォトレジストは,性能優位性と品質安定性により世界的に高いシェアを占めているという。東友ファインケムは,線幅の広いプロセス向けのi線・KrF(フッ化クリプトン)フォトレジストの製造拠点として,20年以上にわたり生産を続けている。
同社は,19年度以降,第5世代移動通信システム(5G)の本格商用化などを背景とした最先端プロセス向けフォトレジストの需要拡大を見据え,大阪工場で段階的な生産能力増強や,クリーンルームの建設などによる開発・評価体制の強化を進めてきた。
半導体市場は,データ通信の高速化や大容量化により今後も継続的な拡大が見込まれるため,今回,大阪工場での製造ライン増設に加え,事業継続計画(BCP)の観点も踏まえて,東友ファインケムへの製造プラントの新設を決定した。
これらにより,同社グループの最先端プロセス向けフォトレジストの生産能力は,24年度に19年度比で約2.5倍となるという。これからも,旺盛な半導体需要に応えるべく機動的かつ積極的な供給体制の整備を進め,市場のニーズに沿った高品質な製品を安定供給することで,フォトレジスト事業の規模拡大を目指すとしている。