東大ら,新奇磁性体を発見するデザイン則を開発

東京大学,豪The University of New South Wales,スペインBarcelona Supercomputing Center,独Technische Universität Berlinは,省エネルギー・スピントロニクスデバイス,環境調和デバイス,生体調和デバイスなどへの応用が期待されているマグネタイト(Fe3O4)(磁鉄鉱,鉄黒錆)を高機能化する計算機ナノマテリアルデザインに成功した(ニュースリリース)。

マグネティズム(磁性)の名前の起源でもあり,紀元前9世紀に発見され,コンパス(指南車)として使われた永久磁石であるFe3O4は生体内にも存在し,環境調和性と生体調和性を併せ持っている。

そのため,バイオ・スピントロニクス材料として,生体調和・環境調和デバイスの実現に向けた高機能化と高次機能化がポスト・コロナ社会から強く求められている。

強いスピン軌道相互作用を持つ希土類元素(Eu)をマグネタイトに添加し,その飽和磁化を2.3倍以上も巨大化できる新機能酸化物磁性体の創製法をデザインした。巨大飽和磁化は,化学ドーピングによる電荷の符号や外部からの印加電場の符号を調整することにより,磁化の大きさとその方向を同時に制御できる方法を発見した。

これらを利用し,スピントロニクスデバイス,環境調和デバイス,生体調和デバイス,などへの産業応用が可能となるとする。Eu添加により,化学反応に用いられているマグネタイト触媒の印加磁場による再活性化が容易となり,巨大飽和磁化の電場制御を利用した自己修復する不老不死の触媒機能を高次化することができるという。

今回,希土類元素添加による磁性体材料の巨大飽和磁化の物理機構を解明し,新奇磁性体創製法の汎用的デザイン則が得られた。研究グループは,Fe系酸化物磁性体のみならず,遷移金属窒化物磁性体材料,遷移金属炭化物磁性体材料,遷移金属フッ化物磁性体材料,遷移金属ボロン化合物磁性体材料などの巨大飽和磁化をデザイン主導により実証し,スピントロニクス・デバイスなどの高度化や高機能化を実現することができるとしている。

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