NIMSら,1Vで動作する高性能TFTを塗布で作製

物質・材料研究機構(NIMS),C-INK,プリウェイズらは,低温焼結塗布型シリカ(LCSS)を開発し,高性能な印刷薄膜トランジスタ(TFT)と,素子をつなぐ3次元印刷配線の形成を可能にした(ニュースリリース)。

金属や半導体のインクを用いて印刷プロセスによって電子回路を形成する試みは,「プリンテッドエレクトロニクス」として広く開発されてきた。印刷電子回路の実用化には,印刷による高性能なTFT素子と,素子間をつなぐ3次元配線が不可欠だが,TFT素子や回路を印刷のみで形成するのは難しく,また,印刷によって作製した素子は動作速度が遅く,動作電圧もNIMSが開発した素子で10V以上と高いことが問題だった。

今回,研究グループは,プリンテッドエレクトロニクス向け層間絶縁材料として,塗布プロセスによる成膜が可能で,90°Cで焼結できる低温焼結塗布型シリカ(LCSS)を開発した。LCSSは焼結温度が90°Cという低温のため,ガラスやシリコンウエハーはもちろんのこと,プラスチックフィルムやセルロースナノペーパーの表面にまで絶縁層を形成することができるという。

これにより,印刷のみを用いて高性能なTFT素子と多層印刷配線を作製可能とした。多層印刷配線は,ビアホールを介した層間の良好な通電が可能。LCSSを絶縁層とし,すべての層を印刷で形成したTFT素子は,1V以下の動作電圧で移動度70cm2V-1s-1という世界最高レベルの特性を示した。この成果は、印刷によるディスプレイや高感度センサといったアプリケーションの開発につながるもの。

このLCSSは熱に弱い材料にも形成できるため,フレキシブルな材料にも適用可能であることから,ウェアラブルデバイスへの応用が特に期待できる。研究グループでは,プリンテッドエレクトロニクスの一層の普及に向けて,微細印刷技術と材料の社会実装を目指すとしている。

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