阪大ら,レーザーで液体金属の様子を直接観察

大阪大学,広島工業大学,理化学研究所,高輝度光科学研究センターらは,大阪大学と理化学研究所がX線自由電子レーザー施設SACLAに共同で整備したレーザー高エネルギー密度科学の実験プラットフォームにおいて,極限環境下の液体金属の構造を明らかにすることに成功した(ニュースリリース)。

高出力レーザーを照射することによって,数千万気圧・数万度にもおよぶ物質の極限状態を生成することができる。その際,ほぼ全ての固体の物質は瞬間的に高密度の液体やプラズマの状態へと変化する。

高密度に圧縮された,“正の圧力”下の物質に関する研究は各国で精力的に行なわれている。しかし,極限的な“負の圧力”で膨張する際の物質の振る舞い,とりわけ液体状態の物質に関しては,レーザーアブレーションの理解やレーザー加工予測の高度化において重要であるにも関わらず,これまで知見を得ることは難しかった。

高速で運動する液体におけるこのような状態は,ナノ秒にも満たない短時間にしか維持されないため,フェムト秒パルスのX線自由電子レーザーがその観測に威力を発揮する。研究グループは,高出力レーザーを照射して,高融点・高硬度の金属であるタンタルを最大440万気圧・19,000度の条件で液体金属状態とした上で,真空中で高速に膨張させることで極限的な“負の圧力”の液体状態を実現した。

X線自由電子レーザーを同時に照射して液体の構造が直接観察できることを実証するとともに,最大5.6万気圧の“負の圧力”が液体タンタルの内部に発生していることを実験と計算の両方を駆使して明らかにした。この大きな負の圧力は,理論的に予測されるキャビテーション発生圧力と近い値であったことから,生成した液体タンタルは気体と液体が混合した、より複雑な状態である可能性があるという。

この研究成果は,圧縮だけでなく膨張の極限環境における液体の構造やその強度などを直接調べることが可能となったことを示すもの。研究グループは,高温の液体に関する研究の進展について,航空宇宙分野に関わる新材料開発や,レーザー加工およびプロセスの高度化に繋がるものだとしている。

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