大阪大学の研究グループは,時空間結合法を用いて自由空間における往復伝播の光を生成した(ニュースリリース)。
光は基本特性として,自由空間を直線定速度(299,792,458 m/s)で伝播する。この光の伝播速度,方向,軌道を制御することは,常に物理学のホットスポットの1つとなっている。
最近,速度と方向の両方を含む光の伝播を制御するために,いくつかの時空結合法が提案された。例えば,飛行焦点の方法では,超光速,低光速,加速,減速,後方伝播が生成される。
飛行焦点の原理は,軸上色収差を用いて空間中のスペクトル依存焦点を分離し,次に時間チャープを用いてその焦点に到達する各スペクトルの時間を制御する。この場合,速度と伝播方向を調整できる上記の運動を作成できる。飛行焦点の従来の結果では,光は単一の方向,すなわち前方または後方に沿ってのみ伝播することができる。
この新しい方法では,レイリー長と時間チャープを劇的に増加させることにより,非常に特異な物理的区間において,従来の結果と全く異なる異常な往復伝播が存在することを見いだした。新しく作られた飛行焦点は縦軸に沿って最初に前方へ,次に後方へ,そして最後に再び前方へ伝播することができるという。
この新しい形の光伝播は,光伝播の従来の理解を一新し,新しいアプリケーションの可能性をもたらすことが期待される。この新しい光は空間‐時間の往復伝播強度を持ち,例えばこの新しい光をレイリー散乱領域の光ピンセットに適用すると,往復放射圧を生成することができる。
粒子が非常に小さい場合には,超高速往復トラップ放射圧が発生し,粒子が少し大きいと,超高速往復押動放射圧が発生する。従来の光伝播と比較して,この研究における往復伝播光は基礎物理と応用物理の両方に新しい可能性をもたらすかもしれないとする。
この研究は,高強度光学系から弱強度光学系まで,多くの物理学的応用の可能性を秘めていおり,例えば,超高速光ピンセット,位相整合レーザー粒子加速,自由空間光通信,量子光学などに利用できるとしている。