北大ら,磁気渦の中心で揺らぐ電気四極子を観測

北海道大学,東北大学,独ヘルムホルツ研究センター,独ドレスデン工科大学(ドイツ),チェコ カレル大学数物理学科は,「蜂の巣構造」を持つウラン化合物が形成する磁気渦の中心で,秩序せず自由度を保ち続ける「電気四極子」の存在を初めて捉えることに成功した(ニュースリリース)。

記憶素子の微細化や量子コンピューターの実現に向けて,新しい量子自由度が示すナノスケールの秩序構造が注目されている。その中でも磁気渦の研究は,磁化率や中性子散乱実験などの電子のスピン自由度を観測する磁気測定によってこれまで中心的に行なわれてきた。

一方,電子の持つもう一つの自由度である「軌道自由度」に関しては,磁気的な自由度とは対称性が異なる電気的な自由度であるため,実験の難しさからあまり研究が進んでおらず,磁気渦中において電気的な自由度がどのように振舞っているのかが未解明の謎として残っていた。

今回研究グループは,金属化合物中の電子の軌道自由度を敏感に観測する精密超音波測定法と国内外の最先端の強磁場発生装置を組み合わせ,UNi4B(U: ウラン,Ni: ニッケル,B: ホウ素)という物質が示す渦状の磁気秩序下で,電子の軌道自由度に由来する「電気四極子」を精密測定した。その結果,この物質の磁気渦と電気四極子の応答に強い相関があることが明らかになった。

研究グループはこの研究成果について,同様の磁気渦を示す物質の理解を進めるとともに,固体中の電子の持つ多様な量子自由度を制御し,それらを応用に結びつけた全く新しい量子情報素子の実現に向けた足掛かりになるものだとしている。

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