岐阜大,スパコンで41種類の原子層合金を予言

岐阜大学は,スーパーコンピュータを利用したハイスループット計算手法を用いて2000種類以上の原子層合金の安定性を網羅的に調べ,結晶構造に注目した解析を行なうことで,41種類の新しい原子層合金が安定に存在することを予言した(ニュースリリース)。

2020年に合金研究のブレイクスルーとして,原子数層からなる極端に薄い2次元構造を持つ合金(CuAu)の実験的な初合成が報告され,CuAu以外の原子層合金の存在や,その原子層構造について興味が持たれている。

しかし,周期表には放射性元素を除くと40種類以上の金属元素が存在し,2元合金の組合せは1000種類程度となる。また,各々の合金に対して例えば5種類の結晶構造を考える場合,5000個の候補となる構造があり,計算物質科学の方法に基づくエネルギー計算や格子振動計算の実行には膨大な時間が必要となるため,スーパーコンピューターを用いて大量の計算を同時に実行する「ハイスループット計算」を行なう必要がある。

研究では,東京大学と名古屋大学のスーパーコンピューターを利用して,計5405個の2元合金のエネルギーを網羅的に計算した。合金の安定性を判断する指標となる「形成エネルギー」という量を計算し,2元合金の安定性を調べた結果,蜂の巣格子構造を持つ6個の合金と正方格子構造を持つ13個の合金のみが負の形成エネルギーを持ち,エネルギー的に安定であることがわかった。

しかし,実験的合成が確認されているAuCuの蜂の巣格子構造は,不安定構造であると予測された。また,これら19個の合金に対して「格子振動計算」を実行したところ,今度は逆に,2つの蜂の巣格子構造を除く,計17個の原子層合金は不安定であることが予測され,形成エネルギー値だけで原子層合金の安定性を完全に理解することはできないことが示された。

そこで,合金の形成エネルギーではなく「結晶構造の類似性」に注目し,安定な原子層合金の探索を行なった。具体的には,「タングステンカーバイド構造(Bh構造)が安定に存在するならば,蜂の巣格子構造の原子層合金も安定である」と予想し,安定性を持つ候補物質の格子振動計算を行ない,その結果,予想通り計41種類の蜂の巣格子構造を持つ原子層合金が安定に存在することを予言した。

研究グループは今後,原子層合金を安定化させるための基板物質を予測すること,物質の合成可能性に関する理解を深めることなどが課題になるとしている。

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