住友ゴム工業と東北大学は,住友ゴムの新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」(ナノからミクロンレベルまで,ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し,シミュレーションすることを可能とする技術)にて開発した4D-CT(4次元X線CT)法の約1,000倍速での高速撮影に成功した(ニュースリリース)。
住友ゴムでは2015年の「ADVANCED 4D NANO DESIGN」の発表以来,その基幹技術のひとつである大型放射光研究施設「SPring-8」を活用した4D-CT法で,耐摩耗性能向上を目指した材料開発を行なってきた。
これまでの4D-CT法では,1枚の3D画像を撮影するのに数秒程度要するため,より鮮明な画像を得るために撮影スピードの高速化が求められていた。そこで研究グループは,高速4D-CT法の技術開発を進めてきた結果,1枚の3D画像を得るのに,これまでの約1,000倍速化となる約0.01秒での撮影に成功した。
これにより実際にタイヤが摩耗する時に近い状態で,ゴムが破壊する様子を連続的かつ様々な速度で3D観察することが可能となった。住友ゴムでは,今後この技術を活用し,耐摩耗性能に優れた環境に優しいロングライフなタイヤの新材料開発を加速させるとともに,タイヤ開発および周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」材料の開発に繋げていく。
さらに,研究グループが参画する,科学技術振興機構が独創的で国際的に高い水準の研究を推進する戦略的創造研究推進事業「CREST」にて,超高速撮影が可能なマルチビーム4D-CT法の開発を進めている。超高速マルチビーム4D-CT法から得られるビッグデータの解析に向けて,機械学習など高度情報処理との融合により,高性能な材料の開発を目指すとしている。