米オン・セミコンダクターは,車載LiDAR向けシリコン光増倍率(silicon photomultiplier:SiPM)アレー「ArrayRDM-0112A20-QFN」を発表した(製品ページ)。
この製品はRDMプロセスをベースとした,モノリシックな1×12配列のSiPMアレー。近赤外(NIR)光に対して高感度を実現し,905nmで業界トップクラスの18.5%の光子検知効率(photon detection efficiency:PDE)を実現。SiPMの高い内部ゲインにより,シングルフォトンのレベルまでの感度を可能にし,反射率の低いターゲットでも,より遠くまで検出距離を広げることができる。
SiPMは,明るい太陽光条件下で,長距離レンジングに対して高いS/N性能を有する。供給バイアスが低く,気温変化に対する感度が低いなどの特長により,従来型のアバランシュフォトダイオード(avalanche photodiode:APD)を使用するシステムの理想的なアップグレードになるという。また,SiPMはCMOSプロセスで量産されるため,コストも抑えられる。
レーザー光を使った物体の距離の測定は,自動車,民生,産業用のアプリケーション分野に広がっている。自動車において,LiDARは他のセンシングモダリティを補完し,冗長性を提供することにより,車線維持や交通渋滞支援などの機能を支援し,安全性と運転支援システム(ADAS)を改善する。
LiDARは,ロボットによる輸送など,完全自動運転のユースケースで一般的に使用されるようになっており,環境をリアルタイムで安全にナビゲートできる。新製品は高いPDEによって,300mを超える検出距離が実証されているという。
この製品を用いたLiDARによる高解像度の深度データにより,低照度条件下での瞬時で正確なオブジェクト識別が可能になる。この製品は最初の車載品質認定済のSiPMとして,安全と自律性の次のレベルに向けた長距離でコスト効率の高いLiDARソリューションを可能にするとしている。