東大ら,銀河系内で最強の宇宙線源の候補を発見

東京大学,横浜国立大学,日本大学,神奈川大学は,チベット空気シャワー観測装置により,地球から2600光年彼方にある超新星残骸G106.3+2.7から100TeV超のガンマ線を世界で初めて観測した(ニュースリリース)。

チベットASg実験は,中国チベット自治区の標高4,300mの高原に多数の粒子検出器を配置し,宇宙空間から降り注ぐ超高エネルギー宇宙線・ガンマ線の観測を行なっている。

高エネルギーの宇宙線は,大気上層の窒素原子核などと衝突し多数の粒子を生み,それがさらに衝突を繰り返してシャワー状に粒子が降り注ぐ「空気シャワー」と呼ばれる現象を引き起こす。この空気シャワー中の粒子を,多数の粒子検出器を碁盤の目状に配置したチベット空気シャワーアレイと呼ばれる装置で観測する。

宇宙線をPeVのエネルギーまで加速している天体「ぺバトロン」の候補天体を同定するために観測する100TeVを超えるガンマ線の強度は弱く,一様にやってくる宇宙線雑音に埋もれてしまう。そこで研究では,宇宙線起源のそれと比べて50分の1程度なので,その数を計測することでガンマ線と雑音である宇宙線を選別できるミューオンに着目した。

純度の高いミューオン数を測定するために,空気シャワー中のミューオン以外のほとんどの粒子が遮断される地下2.4mに水チェレンコフ型ミューオン検出器を新たに建造した。この地下ミューオン検出器は世界最大級の面積3,400m2を誇り,水深1.5mのプール中に光電子増倍管を取り付けた構造になっている。これにより,ミューオンが水中で発するチェレンコフ光を観測し,空気シャワー中のミューオン数を計測する。

2014年から約2年間のデータを解析したところ,地下ミューオン検出器を用いて,100TeV以上のエネルギー領域で宇宙線雑音を千分の1以下にすることに成功し,G106.3+2.7から放射されるガンマ線のスペクトルが100TeV以上にまで伸びていることを示した。これは,これまでに超新星残骸から観測された中で最高エネルギーのガンマ線だという。

また、ガンマ線の放射領域が分子雲の位置と良く合っており,分子雲の北東に位置するパルサーからは離れていることも示した。これらのことから,G106.3+2.7はぺバトロンの候補天体であるといえるという。研究グループは今回の結果について,銀河系内の原子核宇宙線の起源の解明を目指す上で重要な一歩となるものだとしている。

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