東大ら,ベテルギウス減光の原因や大きさなど解明

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)らの研究グループは,2020年初めに前例のない大幅な減光を見せたオリオン座の赤色超巨星ベテルギウスについて,今回の大幅な減光が超新星爆発の兆候ではないことを示した(ニュースリリース)。

ベテルギウスは赤色超巨星と呼ばれる恒星進化の最終段階にある赤く輝く巨大な星で,いつ超新星爆発を起こしてもおかしくないと考えられている。そのため,2020年初めの大幅な減光は爆発が迫っているのではないかとの憶測を呼んだ。

研究グループは,恒星進化,脈動の流体力学,星震の理論計算を駆使して,ベテルギウスの明るさの変化を分析した。その結果,ベテルギウスが星のコアでのヘリウム燃焼段階 (爆発が起こる10万年以上前の状態)であると結論付けた。

また,ベテルギウスはκ(カッパ)メカニズムと呼ばれる星自身が膨張と収縮を繰り返す脈動により,185(±13.5) 日と約400日の2つの周期で明るくなったり暗くなったりする変光を継続的に繰り返していることを明らかにした。加えて,今回の大幅な減光は,星が脈動する働きに加えて,星から放出された大量の塵が関係していることを示唆した。

この研究によって,ベテルギウスの現在の質量,従来はっきりとはしていなかった実際の大きさ,そして地球からの距離も明らかになった。ベテルギウスの現在の質量は太陽質量の16.5倍から19倍ほどであり,最新の推定値より僅かに小さい質量だった。

大きさについては,これまで太陽から木星軌道までの距離よりも大きい半径と考えられてきた。しかし今回,ベテルギウスの半径は太陽半径の750倍であり,従来の研究で推定されていた半径の3分の2ほどしかなかった。さらに,星の物理的なサイズから地球からの距離を計算したところ,地球からわずか530光年であり,これは以前考えられていたよりも25%近いことが分かったという。

ベテルギウスは爆発する候補の星の中では最も近い距離にあることから,爆発前にどのようなことが起きるかを研究する貴重な機会となるとしている。

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