すばる望遠鏡,はやぶさ2の再ミッション先を撮影

すばる望遠鏡は,2020年12月10日(ハワイ現地時),小惑星探査機「はやぶさ2」の拡張ミッションの目標天体である微小小惑星「1998 KY26」の撮影に成功した(ニュースリリース)。

JAXAが運用する小惑星探査機「はやぶさ2」は,小惑星「リュウグウ」で採取したサンプルを格納したカプセルを,12月6日(日本標準時)に地球に帰還させた。「はやぶさ2」はその後,残った燃料を活用する拡張ミッションのために地球を再出発し,目標天体である小惑星「1998 KY26」に接近して観測を行なうことが計画されている。

小惑星「1998 KY26」は2020年12月中旬から下旬にかけて地球に0.47天文単位まで近づき,およそ3年半に1度という観測の好機を迎えている。しかしながら「1998 KY26」の直径は推定でおよそ30mと小さく,とても暗いため,大望遠鏡を使わなければ地球からの観測は難しい。

今回のすばる望遠鏡による「1998 KY26」の観測は,JAXAからの依頼に基づいて行なわれた。その結果,「1998 KY26」はふたご座の方向に25.4等級(測定誤差0.7 等級)の光の点として,すばる望遠鏡に搭載した超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」によって撮影された。

観測で得られた位置測定データは,「1998 KY26」の軌道要素(軌道を表わす数字)の精度を向上させるために活用される。なお,同様の観測は,ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTでも行なわれた。

「1998 KY26」ほど小さい小惑星はまだ探査されたことがないため,惑星科学的にも,またプラネタリーディフェンス(天体の地球衝突問題)の上でもたいへん注目されているという。

JAXAでは今回のすばる望遠鏡での観測について,「はやぶさ2」の拡張ミッションにとって非常に貴重なデータになっただけでなく,今後のミッションの弾みともなるものだとしている。

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