古河電工,18kWファイバレーザーを開発

古河電気工業は,産業用として国産で最大出力となる18kWのマルチモードファイバレーザーを開発した(ニュースリリース)。

切断や溶接といった金属加工などの産業用途には,YAGレーザーやCO2レーザーなど,様々な種類のレーザーが使用されている。ファイバレーザーは,これまでの一般的なレーザーと比較して非常に高いエネルギー密度を持ち,加工における品質改善,加工速度向上など,製造工程の改善に貢献してきた。

さらなる改善に向けてレーザーの出力およびエネルギー密度の両面の向上が期待されていたが,レーザーの出力を向上させると一般にビーム品質が低下し,集光時のスポット径が大きくなってしまう特性があった。この特性は結果として集光点のエネルギー密度低下を引き起こし,切断・溶接時の溶け込みが浅くなったり加工速度が低下するといった課題の原因になっていた。

これはレーザーが持つ一般的な特徴であるため,対策が非常に難しいが,同社では今回,光学部品の改善を図り,ビーム品質を維持しつつ光出力の向上を実現したという。

これまで市場で入手可能な10kWを超えるレーザーは,ビーム品質を表すBPPが4.0mm・mrad程度であったが,今回の18kWレーザーはBPPが3.0mm・mradと25%良好な値となっており,75%以上高いエネルギー密度を実現している。また,高出力ファイバレーザーにおいて課題となる誘導ラマン散乱(SRS)や発熱についても,新たな技術により解決したとしている。

ビーム品質が優れた18kWレーザーによる微小集光スポット径を実現したことで,従来にない厚さの厚板溶接や厚板切断が可能となる。また,薄板加工への適用においても同社従来レーザーと比較して1.5倍を超える加工速度が得られ,製造コスト削減に貢献する。さらに良好なビーム品質を維持していることから,これまでの同社製レーザーと同様にビームプロファイル制御技術と組み合わせることが可能であり,様々な分野で強力なツールとなるとする。

同社では2021年度には,18kWファイバレーザーの製品化を予定しており,アプリケーションラボでの加工試験環境の提供を開始する。また,今回の18kWの構成部品を用いて,30kWまでの出力増強が可能であり,今後さらなる大出力ファイバレーザーの実現に挑戦するとしている。

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