北大ら,光応答性有機メモリの構築法を開発

北海道大学と国立台湾大学は,ロッドーコイル型有機半導体分子を利用した高性能な光応答性有機メモリデバイスの開発に成功した(ニュースリリース)。

有機半導体から構成されるメモリデバイスは,シリコン系半導体デバイスと比較して,軽量かつ柔軟な性質を兼ね備えている。最近では光信号によるメモリデバイス制御が注目を集めており,光応答性メモリデバイスの普遍的な構築手法の確立が求められている。

研究グループは,有機半導体としての性質を示す共役構造(ロッド)と絶縁体としての性質を示す植物由来脂肪族炭化水素(コイル)から構成されるロッドーコイル型有機半導体分子を浮遊ゲートとして用いることで,光応答性有機メモリデバイスの構築に成功した。

このデバイスは,トップコンタクト−ボトムゲート構造を有しており,シリコン基板上(ゲート電極)にロッドーコイル型有機半導体分子(電荷蓄積層)→有機半導体(半導体層)→電極(ソース電極・ドレイン電極)という順で
各材料を積み上げている。

研究グループは,ロッドーコイル型有機半導体分子(Sol-PDI)を開発した。通常,浮遊ゲートは電荷トラップ材料を絶縁層で挟み込むことで構築されるが,今回提案したデバイスでは半導体層との間を仕切る絶縁層(トンネル絶縁膜)が不要であることがわかった。

これについて,自己組織化によりロッドーコイル型有機半導体分子のロッドとコイル部位がそれぞれで寄り集まったナノサイズの層を形成することを見出し,このコイル層が絶縁体として作用したと考えられるという。このような製造プロセスの簡略化は,デバイスの信頼性向上などにおいて重要となる。

メモリデバイスを調べた結果,広い範囲の波長の光に応答してメモリの状態をプログラミングできることがわかった。また,ON/OFF 状態でのメモリ電流比(105),応答速度,メモリ保持時間などの観点からも非常に優れた特性を持つことが明らかとなった。

電荷蓄積層と半導体層の材料に共通してペリレンジイミドをいう共役構造を取り入れたことにより,高速なスイッチングが実現されるとともに,デバイス駆動に必要なエネルギーを0.1Vにまで削減できた。

また,このデバイス製造手法はペリレンジイミドをベースとしたn型半導体メモリだけでなく,ロッドー
コイル型分子の共役構造をチエノアセンとすることでp型半導体メモリにも適用可能であることを確認した。

研究グループは今回の成果について,光刺激による有機電子デバイス操作は将来的に網膜のような機能を持ったデバイスの開発などに活かされるものだとしている。

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