富士フイルム,インフラ点検サービスに新機能

富士フイルムは,AIを活用した画像解析により橋梁やトンネルなどの損傷を自動で検出し,点検業務を大幅に効率化する社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」の機能をさらに拡張する(ニュースリリース)。

従来の「ひびわれ」に加え,新たに「剥離・鉄筋露出」「漏水・遊離石灰」を自動で検出できる機能を搭載し,7月22日より提供を開始する。尚,AIによる「剥離・鉄筋露出」「漏水・遊離石灰」の自動検出は業界初だという。

日本では,高度経済成長期に多く建設された橋梁やトンネルなど社会インフラの老朽化が進行していることから,国や自治体は,社会インフラの定期点検の義務化や点検内容の厳格化を進めている。現在,社会インフラの点検業務では,近接目視での損傷確認,写真撮影やスケッチによる記録,報告書作成などがあり,多くの作業時間を要している。また点検技術者も不足していることから,点検業務の効率化に対するニーズはますます高まっている。

同社は,医療用画像診断システムで培った高精度な画像解析技術などを活用してこのサービスを開発した。このサービスは,サーバーにアップロードされた橋梁やトンネルなどの撮影画像から,①複数枚の画像の合成,②AIを活用した画像解析による損傷検出,③検出結果のデータ化,などを自動的に行なうクラウドサービス。同社はまず,「ひびわれ」を対象として2018年4月よりこのサービスの提供を開始し,導入を進めてきた。

今回,「ひびわれ」と同様、国土交通省の橋梁定期点検要領で点検対象の損傷として定められ,数が多い「剥離・鉄筋露出」「漏水・遊離石灰」の自動検出機能を同サービスに搭載する。これにより,橋やトンネルなどのコンクリート表面の剥離や剥離後に露出する鉄筋のみならず,ひびわれから発生する漏水・遊離石灰,さらには錆汁までも自動で検出することが可能となる。また,各損傷の面積を自動で計算できるため,点検現場での損傷の確認・記録から報告書作成までにかかる作業時間を短縮するという。

このサービスは,国土交通省や橋梁調査会より性能評価を受け,2019年7月にNETIS(民間により開発された新技術の活用のためのデータベース)に登録された。また2020年6月には,国土交通省が作成する「点検支援技術 性能カタログ(案)」にも掲載。このカタログ内の新技術の中でも,低コストでドローンなどを用いた撮影との連携が可能であることから活用しやすく,点検業務のさらなる効率化への貢献が期待されるとしている。

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