ニデックは,角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした自家培養角膜上皮「ネピック」を発売する(ニュースリリース)。
眼球の表面は角膜と結膜からなり,角膜は透明で血管がなく,層構造をしている。その最も外側にある角膜上皮は,角膜上皮細胞からなり,外界から細菌や化学物質の侵入を防ぎ,角膜内層を保護する役割を持っている。
角膜と結膜の境界である角膜輪部には角膜上皮幹細胞が存在し,角膜上皮細胞を供給するとともに結膜上皮細胞の侵入を防ぎ,角膜上皮の透明性を維持する重要な役割を担っている。
角膜上皮幹細胞疲弊症とは,この角膜上皮幹細胞が,先天的または外的要因等によって消失することで発症する疾患。角膜の透明性が失われ,視力の低下や眼痛などの臨床症状が見られる。
この製品は,患者自身の角膜輪部組織(角膜と結膜の境界にあり,角膜上皮細胞の幹細胞が存在する部分)から分離した角膜上皮幹細胞をシート状に培養したもので,眼科領域では国内初の再生医療等製品となる。この品を移植することにより,角膜上皮を再建させることを目的とするもの。
従来の角膜上皮幹細胞疲弊症の治療法では,ドナー眼を用いた角膜移植術が実施されているが,拒絶反応が起こるなど有効な治療法がなかった。この製品は角膜ドナーが不要で,患者自身の組織を移植するため,拒絶反応もないことが特長。同社ではこの製品が,角膜上皮幹細胞疲弊症の治療法の新たな選択肢になるとしている。