京大ら,冥王星の急速な大気崩壊の可能性を発見

京都大学,岡⼭⼤学,東北⼤学,⽇本スペースガード協会の研究グループは,ハワイ・ハレアカラ山頂のT60望遠鏡を使用して,2019年7月に冥王星によって恒星が隠される「掩蔽(えんぺい)」とよばれる現象の観測に成功し,掩蔽観測データを詳細に解析した結果,掩蔽観測時の冥王星の大気圧が2016年の観測結果と比べて約20%低下したことを発見した(ニュースリリース)。

NASAの惑星探査機ニューホライズンズの探査結果から,冥王星の⼤気が今後どのような運命をたどるのかについてさまざまな仮説が提唱されてきた。いくつかの理論モデルでは2015年以降,気圧の上昇が⽌まるかゆるやかに低下すると予測されていた。しかし,これまでの観測結果では気圧の上昇傾向にはっきりとした変化はみられず,さらなる観測による検証が求められていた。

冥王星の⼤気は「掩蔽」現象を地上から観測することで知られてきた。掩蔽される恒星の光は冥王星表⾯にさえぎられる直前と直後に,⼤気による屈折の影響をうけて折れ曲る。そのため恒星の光は掩蔽のさいには瞬間的に明滅することなくゆっくりと光が増減し,その増減のゆるやかさ具合を計測することで,⼤気圧を知ることができる。

2019年7⽉17⽇に,冥王星によるいて座の恒星(⾒かけの明るさ13.0等)の掩蔽イベントが発⽣すると予報された。そこで研究グループでは東北⼤学惑星プラズマ・⼤気研究センター,ハワイ・ハレアカラ観測所の惑星⼤気観測専⽤望遠鏡,T60望遠鏡(⼝径60cm)を使⽤してこの掩蔽イベントの観測を実施した。

観測によって得られた恒星の光度変化を解析した結果,冥王星の⼤気圧は地表付近(半径1215km)で約0.52Pa(地球の表⾯気圧のおよそ20万分の1)と,直前の観測結果である 2016年の観測気圧と⽐較しておよそ21%低下したことを発⾒した。

今回の観測結果から,冥王星の⼤気圧は2015年から2016年にピークを迎え,その後1年間あたりおよそ7%のペースで急速に低下していると考えられるという。

今回の研究成果は,これまで知られてきた冥王星の⼤気の常識を覆すもので,これまでの理論モデルでは低下に転じることは予想されていたものの,そのペースはせいぜい1年間あたり1%程度と考えられていた。

今回発⾒された急速な気圧低下は理論モデルでも予測されておらず,現在の冥王星では予想外のペースで⼤気の主成分である窒素ガスが表⾯に凝結し,⼤気の崩壊が進んでいる可能性があるとしている。

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