JST,レーザー樹脂溶着の開発を成功と認定

科学技術振興機構(JST)は,研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)企業主導フェーズNexTEP-Aタイプの開発課題「ヒートシンク式レーザ溶着による電子デバイス精密接合装置」の開発結果を成功と認定した(ニュースリリース)。

樹脂同士の貼り合わせや封止の方法として,接着剤を使う以外に接合面付近を溶かして接合する溶着がある。溶着の手法は従来,熱板・熱風溶着や超音波溶着などがあるが,接合面だけを精度良く加熱できず小さな部品に適用するのは困難だった。また,過熱による部材の焼けやガス化が問題となる製品については,その溶着品質の確保が課題だった。

そこで大きなエネルギーを微細なスポットに絞り込めるレーザー光の利用が期待されている。しかし,CO2レーザーのような波長の長い赤外線などを用いると,部材の照射面で急激に温度上昇が起こり,瞬間的に溶融からガス化に至り,部材表面が損傷してしまう。

一方,半導体レーザーは波長が短いため一般的な樹脂に対する透過率が高く,光吸収による発熱を抑えることができる。しかし,レーザー光を透過させて2部材の接合面を溶着するには,表側の樹脂に対して裏側の樹脂は光吸収率を高くしなければならず,接合面の両側で同じ樹脂を使用することは不可能だった。

この開発では,レーザーを熱源とし,その出射口の先端箇所に,光を透過する放熱体(ヒートシンク)を溶着部材の表面に接触させた状態で圧接することで,部材表面と内部の温度上昇を避け,接合部だけを確実に溶融させる新技術を実用化した。

成果として,以下3種類の対象製品に対し,代表的な素材と形状を設定の上,必要とされる製品・製造仕様(溶着幅,精度,強度,加工時間)を満たす,計3種類の溶着機を完成させることができた。

・小型電子部品
レーザースポットのスキャンにより,端子などを避けながらPPS(ポリフェニレンサルファイド)材の異形状の外周を溶着する。

・マイクロ流路
レーザースポットのスキャンにより,COP(シクロオレフィンポリマー)材の流路外周を焼けやガス化を起こすことなく高精度に溶着する。

・フラットパネル
レーザーの整形されたラインビームを順次照射することでPET(ポリエチレンテレフタレート)材の全周を封止する。

ヒートシンクにより樹脂を冷却することで,レーザーの吸収率が高いために発熱により溶着が困難とされていたオレフィン系樹脂やフッ素系樹脂同士の重ね合せ溶着も可能になった。

この技術は,仕上がりの美しさや精度,信頼性を要求される精密デバイスの樹脂筐体,医療用マイクロチップ,液晶パネルなどの溶着組み立てに大きく貢献するとしている。

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