東北大ら,黒い絶縁性セラミックス薄膜を開発

著者: higa

東北大学,日本電気硝子の研究グループは,タッチパネルを高性能化する真っ黒でありながら電気を流さないセラミックス薄膜の開発に成功した(ニュースリリース)。

スマートフォンの反射棒膜を黒くできれば,電源オフ状態で高級感のある漆黒のタッチパネルとなるが,代表的な黒い材料であるカーボンは電気をよく流す。電気を流さない樹脂とカーボンを混ぜた材料も開発されてきたが,樹脂が透明なためその吸収強度は大きく下がる問題があった。

近年では表面の凹凸を利用してあらゆる光を強く吸収する黒色材料も開発されているが,反射防止パネルでは平滑な表面が求められるためこの方法を用いることはできない。よって,光を強く吸収する性質と電気を流さない性質を新しいメカニズムで両立する材料を開発する必要があった。

研究グループでは様々なセラミックス薄膜をパルスレーザー蒸着法により合成し,その光吸収特性を調査してきた。そして今回,金属とナローギャップセラミックスからなる複合体が可視光全域を強く等強度に吸収し,かつ,電気を流さない特性を示すことを発見した。

特に,金属として銀(Ag),ナローギャップセラミックスとして酸化鉄(Fe2O3)を用いた場合では,膜厚が同じならカーボンより強く等強度な可視光吸収を示しながらも,一般的な金属と比較して約100万倍の電気抵抗(シート抵抗として108Ω)が発現した。

この材料で可視光を強く吸収する性質と電気を流さない性質が両立されたメカニズムには,原子レベルで金属がセラミックス中に分散されたことが大きく関係している。この状態はとても不安定であり,通常はすぐに完全に分離・成長する。

しかし今回開発した材料の電子顕微鏡写真からは,数nmサイズの金属銀粒子(小さな球状の白色部)と酸化鉄セラミックス(暗灰色部)の間に,それらが原子レベルで混合された中間状態の部分(明灰色部)がはっきりと確認できた。これは,この材料が金属とセラミックスに完全に分離するには不十分な温度で合成されたためだという。

この分散状態の実現により,銀が60mol%という高濃度でも金属銀粒子同士が接続されず,電気が流れにくくなる。更にこの分散状態は,金属部分が担う可視光長波長側の吸収とナローギャップセラミックスが担う可視光短波長側の吸収をどちらもアシストするため,可視光全域を強く吸収する性質が発現する。

今回の薄膜は電源オフ状態で高級感のある真っ黒な外観のタッチパネルが実現できるため,家電製品や車載機器への応用が期待されるとしている。

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