富士フイルムは,胸部CT画像から肺結節の候補を自動検出する画像診断支援機能「肺結節検出機能」と,医師が確定した肺結節の性状を分析し,医師の所見文作成を支援する「肺結節性状分析機能」を,AI技術を活用して開発し,2020年6月1日に発売する(ニュースリリース)。
「肺結節検出機能」は薬機法における医療機器の承認を取得し,「肺結節性状分析機能」は同法における医療機器の認証を取得した。
これらの2つの機能を,画像診断ワークフローを支援する同社のAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」向けのアプリケーションとして,富士フイルムメディカルを通じて発売する。これらのアプリケーションの発売に伴い,「SYNAPSE SAI viewer」の新バージョン(「SYNAPSE SAI viewer V1.3」)の提供を開始する。
今回発売する「肺結節検出機能」と「肺結節性状分析機能」の特長は以下の通り。
(1)肺結節検出機能
肺結節の候補を検出して表示する機能。その候補を医師が再確認することで,見落しを低減する。
・胸部CT画像から肺結節の候補を自動で検出し,検出箇所をマークして表示する。医師は画像確認を行なった後,マークされた箇所を再確認し,肺結節かどうかを判断する。
・CT画像を3D解析する同社技術を活用し,3次元情報に基づいて肺結節の候補を検出するため,CTの断層画像だけでは見分けがつきにくい,血管に付着した結節等も検出することができる。
・臓器認識技術により,肺領域を認識したうえで検出するため,胸壁に接した結節の検出も可能。
(2)肺結節性状分析機能
肺結節の性状を分析して結果を表示するとともに,対象の所見文候補を提示する機能。医師が所見を書く作業をサポートする。
・胸部CT画像上で医師が指定した肺結節のサイズ・辺縁部・内部構造などの性状分析を行ない,結果を提示する。
・性状分析の結果をもとに,対象の肺結節に対する所見文の候補を複数提示する。医師は提示された所見文の候補を確認し,選択するだけでレポートに転記することができる。転記した所見文を編集することも可能。
・「SYNAPSE SAI viewer」の新バージョンでは,左右合計18区域に分かれる肺区域を認識してラベリングができるようになったため,提示する所見文の候補に肺結節の場所を示す肺区域の情報を含めることが可能となる。
同社は,今後もAI技術を活用することで,医師の画像診断支援やワークフローの改善に取り組んでいくとしている。