キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は,独DIOPTICとの間で,日本国内における独占販売契約を締結し,「Diffractive Fizeau Null Lens」を中心とした回折光学素子の販売を5月14日より開始する(ニュースリリース)。
価格は250万円~(税別)。ただし,装置構成や為替レートにより価格は変動する。
昨今ミラーレスカメラをはじめとするレンズ交換式カメラ用の交換レンズは,より小型化・軽量化が求められている。そのため従来の球面レンズから,光学性能を維持しながらレンズ枚数を削減可能な非球面レンズが,より多く採用されるようになった。
しかしレーザー干渉計での測定において,非球面レンズは球面レンズに用いられたフィゾー型干渉計と「球面原器:TS(Transmission Sphere)原器」の組み合わせでは計測できない。そのため,触針式形状計測,又は非球面波を生成する回折格子(CGH:計算機合成ホログラムComputer Generated Hologram)を駆使して計測されていた。
しかし,これらの計測では,鏡面の表面をもつレンズに傷をつけてしまう,計測に時間がかかる,など多くの課題があり,非接触で高速に計測できる手段が望まれていた。
今回,同社が販売を開始する,DIOPTICの特許化された回折光学素子「Diffractive Fizeau Null Lens」は,従来使用されていたCGHから進化した製品で,フィゾー干渉計での非球面計測においてもTS原器と同等の使い勝手を実現する。
外周にアライメント用のゾーンを備えることにより,非球面レンズのアライメント操作を飛躍的に向上させ,CGH使用時に比べ計測時間を半分以下に短縮することが可能となる。
キヤノンMJは,非球面計測をはじめとするフィゾー干渉計の回折光学素子において,初年度売上2,000万円,2025年度には年間売上1億円を目指すという。
また,同社は今後も非球面計測のニーズに応え,交換レンズ市場の活性化だけでなく,今まで計測が困難であった様々な光学部品の計測にソリューションが提供できるよう,商品ラインアップを拡充し計測ソリューション事業を拡大していくとしている。