米エドモンド・オプティクスの光学部品が,韓国の医療診断企業MiCo BioMedが開発した,新型コロナウイルス(COVID-19)の検出を1時間以内で可能にする迅速で高感度な分子診断機器「VERI-Q PCR 316」に採用された(ニュースリリース)。
COVID-19のパンデミックは,世界的な重篤健康被害を引き起こしており,この感染症による影響を軽減させるのに,これまで以上に迅速で信頼性が高く,正確な検査が重要とされている。
この装置は,光学フィルター,ビームスプリッター,レンズ,ミラーを利用し,リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR)検査を行なうポータブルデバイス。多くのPCRスクリーニングシステム同様,蛍光に依存しており,対象となる二本鎖DNA分子は,短波長入射に曝されると発光する蛍光色素でタグ付けされる。こうしたデバイスは,蛍光顕微鏡と同様の方式となる。
装置内に組み込まれた励起フィルターは,蛍光サンプルを励起する光源からの波長を通過させる。この励起波長はダイクロイックフィルターで反射し,レンズによってサンプルに集光される。
サンプルからの蛍光発光はダイクロイックフィルターを透過し,システムの検出器上に焦点を結ぶレンズに向かう。蛍光の量を測定することにより,PCRスクリーニングシステムはサンプルがCOVID-19に対して陽性であるかどうかを示す分子の存在を決定付け,検査結果を1時間以内に取り出すことができる。
COVID-19の診断を行なう他の検査は,結果が出るまでに24時間を超える場合もあり,空港や国境での検査に使用するのは難しい。一方,この装置は,リアルタイムPCRスクリーニングを利用して1時間以内に患者の分析を行なうため,旅行者がサンプル採取地点で検査結果を待つことも可能となる。
この装置は現在,ポーランド,ハンガリー,ルーマニア,エクアドル,バングラデシュ,セネガル,ブラジルといった世界各国で使用されているという。