千葉工大ら,近赤外分光で小惑星表面を観測

千葉工業大学,米NASA,米アリゾナ大学らの研究グループは,ふたご座流星群の母天体である小惑星フェートンの地上望遠鏡観測から,小惑星の表面組成に関する新たな発見を行ない,その成果を発表した(ニュースリリース)。

小惑星フェートンは,彗星に似た特異な軌道を持つ小惑星で,地球に接近する最大級(直径約6㎞)の天体。ふたご座流星群のもととなる塵を供給する天体であり,1.4年毎に太陽に接近し,太陽近傍で塵を放出する「活動的小惑星」としても知られている。

このように彗星と小惑星の両方の特徴を持つ天体の表面物質や塵放出の仕組みはよくわかっていない。フェートンは,小惑星リュウグウやベンヌと同様に,有機物や水を含む炭素質隕石に似た組成を持つと考えられている。しかし,これまでその組成や水の存在有無は明らかではなかった。

また,地球から観測した反射スペクトルと軌道の類似から,フェートンが小惑星帯の小惑星パラスから分裂したという説も提唱されている。この小惑星の実態を明らかにするため,2017年12月中旬にフェートンが地球に約1000万kmまで接近した際,世界中の望遠鏡で観測が行なわれた。

この時,研究グループが,米ハワイ島にあるNASAの赤外線望遠鏡施設で近赤外波長域(1.9-4.2μm)の観測を行なったところ,南極域を除く約90%の天体表面(表層数10μm)で,一様に3μm波長帯のスペクトルに吸収が見られなかった。3μm波長帯の吸収が無いことは,フェートン表面に水分子や含水鉱物が存在しないことを示す。

また,親子関係が提唱されている小惑星パラスには3μm波長帯のスペクトルに吸収が見られることから,パラスからフェートンが分裂し,より太陽に近い軌道へと変化した際,太陽の加熱により天体表面から水が失われた可能性がある。

フェートンは,太陽と水星の距離の約1/3の距離まで太陽に近づくため,表面は700度以上に熱せられている。そのため天体表面には氷も含水鉱物もが存在していないと説明できる。

この結果を踏まえると,フェートンから塵が放出される仕組みとして,彗星のように水氷の蒸発に伴うガス放出や含水鉱物の脱水は可能性として低く,熱的破壊,高速回転,太陽輻射圧などが可能性として考えられるが,現時点ではそのいずれかについてはわかっていないという。

現在JAXA・千葉工大が共同で計画を進めるDESTINY+ミッションは,探査機でフェートンに高速接近し,望遠カメラと分光カメラで天体表面の撮像と,天体周辺の塵の化学組成をその場で分析する予定。

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